3月3日太論より

「小牧　朝、風呂場で会ってね。前の日に落馬があったから、「大丈夫か？」って聞いたら、ニコッと笑って「大丈夫です」って。で、彼は8R、9Rと2連勝したでしょ？　だから、その後のレースの返し馬のときに「おめでとう」って声を掛けて。「これがあるからジョッキーは辞められへんねんなぁ」って言ったら、そのときもニコニコしながら「そうですね！」って言ってたんやけど。おそらく抱え込んでしまうタイプなんでしょう。ひとりで悩んでたんやろうね。今はただ、ご冥福を祈るのみです。」
ダイヤモンドＳの落馬が引き金だったと思うが、翌日は折れそうな心を奮い立たせて騎乗したのだろう。もう少しどうにかならなかったのだろうか。と思ってしまう。そういえば騎手って長期休暇をとるのをあまり聞いたことがない。週末だけとはいえ、周りの期待に応えるべく一年中乗り続けるのも、心身両面でかなりの苦労があるだろう。長期休暇をとりたくても、そうすることで騎乗依頼がなくなってしまうのではないかとか。長期のリハビリを経て復帰してわずか三か月だったとはいえ、リハビリにより蓄積したストレスと、落馬する前の元気な頃の状態に戻さなければというプレッシャーとによる緊張が解けない中で、またもやの落馬。それ自体は大したダメージではないにせよ、不安と緊張は極限に達していたのだろう。ここ数年実質的には休みがなかったに等しい状態ではなかったのかと思う。つまり過労死ではなかったのか。一見華やかで高収入の美味しい世界が、こう見ると結構適者生存の世界そのものの荒野に見えてくる。