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2014/09/03 23:19
『レトロなロックとファンクなジャズ』 ~ラブリイと呼ばれた彼女の思い出~
「優等生」を絵に書いたような存在…容姿端麗・頭脳明晰…まさに才色兼備だった帰国子女の“彼女”。
名前は「新晃愛」、女友だちはみんな彼女のことを「ラブリイ」と呼んだ…
涼しい顔で何でもこなし、内申はもちろんオール5。イングリッシュスピーチの全国大会で当然のごとく優勝を飾り、美術部でも高校の賞という賞を総なめ。ハーバード卒のインテリ教師である担任の覚えもめでたく、彼氏は全国模試トップの生徒会長。
だけどもその完璧すぎるところが逆に敬遠されるのか…何故かクラスメートの評判はいまいちだった。
陸上部のエースで国体優勝・小麦色に日焼けした笑顔がまぶしい同じクラスの“西野”に人気は敵わなかったし、僕も気が強いけどおっちょこちょいで妙に愛嬌のある隣の席の“武野”の方が好きだった…
それでも彼女は「人気なんて別に…」と全く意に関せず。同世代とは一線を画すその立ち居振る舞いで特別なオーラを身にまとっていたよね。
そんな“彼女”が大学卒業と同時に結婚した。
有名美大に推薦で入ったと聞いていたから、将来は孤高な女性画家か高名なファッションデザイナーにでもなるんだろうとみんなが思っていた。
だからそのあまりにも早すぎる決断に誰もが驚いたんだ。
それでも「きっとエリート商社マンかお医者さんと誰もが羨む結婚なんだろうな〜」と周りのみんなはため息をつきながら話していたっけ。
でも実際の彼女は家事と育児に奔走する毎日を送り、何度かの離婚と結婚を重ねて今はシングルマザー。別々の元旦那の子供2人を引き取って必死に頑張ってたんだってね。
今日、残業もせずに特急に飛び乗って僕が高校卒業以来初めて故郷の「同窓会」に来たのは“彼女”が…彼女も初めて会に来るって聞いたから。
スタントのバイトをずいぶん前に辞めてから、割れてた腹筋がたるんでボッチャリしてきたから…恥ずかしくてみんなに会うのは気が引けたんだけど…
学生時代からは想像もできないような地味な服装と髪型で少し遅れて店に入ってきた彼女は…なんだかひどく痩せたように見えた。それでもざわつく周りを全く気にしないで澄まし顔で歩く彼女はあの頃のままだったよ…だけど席についてからも話す話題は2人の子供のことばかり。一人はロック歌手を志し、もう一人はジャズシンガーとして身を立てるべく上京し、この夏揃って北海道の夏フェスに参加。デビューシングルも同時にリリースしたんだって…それはそれは嬉しそうに話していたね。やがて色気の欠片も見せない彼女に、同窓会での彼女との再会に浮き立っていた男性陣はたちまちおとなしくなってしまった…(笑)
でも…僕だけは…僕の視線はずっと彼女にくぎづけだった…今でも綺麗なままでキラキラしてる西野や、告白できないままだった武野すら眼中になかった。子供たちのことを話す新晃の幸せそうな顔は、学生時代の凛とした美しさを持っていた彼女よりも、僕の想像の中で輝き続けていた理想の彼女の姿よりもずっとずっと綺麗だった…そう誰よりも一番素敵だったんだ。
同窓会を終えて東京に帰ったら、その脚で真っ直ぐにCDを探しにいこうと思う。
ライブハウスやジャズ喫茶に通って、苦手だったロックやジャズに身を預けてみようと思う。
レトロなロックもファンクなジャズも…きっと心に沁みるはず。
いい夏になった…これからの楽しみがまたひとつ増えたから…
僕も彼女の息子たちの様に、もう一度夢を追ってみよう。
バイトじゃなくて本物のスタントのプロになるためにもう一度自分を鍛え直してみよう!
そして来年…また彼女に会いたいな…今度は勇気を出して、隣に座ってみよう…
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先週新馬を快勝したレトロロックと今週札幌2歳Sに出走予定のジャズファンク。
シンコウラブリイの血を引く彼らは実際は“彼女”の“孫”ですが、2頭が新馬勝ちしたのを記念して、ちょっと小説風にしてみました♪
ラブリイは現役時代の彼女のイメージを学生時代の印象に転化しています。
※作中に出てくる同級生・“西野”と“武野”は…わかりますよね?
たぶん皆さんのご想像通りです♪
そして本編の主人公。彼ももちろん同期です。わかります…よね?^^
それにしても恥ずかしいぃ〜(><;)
きっとまた読み返して顔から火を噴いて後悔するんだろうな…( ̄▽ ̄;)
書いてるときは調子に乗って気持ち良かったけど…ビフォー→アフターの気分の落差がハンパない!!!…たぶんこういうのはもう書かないと思うので今回だけお付き合いを(笑)