183件のひとこと日記があります。
2018/03/13 23:21
白い牙
凍りついた水路の両岸には、黒いトウヒの森があって、陰気臭かった。
最近吹いた風で、木々に付着していた白い氷がはがれている。
あたりがしだいに暗くなっていくなかで、木々は互いに凭れあい、黒く不気味に見えた。
広大な土地はしんと静まりかえっている。荒涼とした場所で、生き物の姿も、動くものもなく、あまりの寂しさ、あまりの寒さに、大地は悲しみにひたってさえもいられなかった。腹のなかでかすかに笑っていた。
だが、それはどんな悲しみよりも恐ろしい笑い。スフィンクスの微笑みと同じ陰気な笑いであり、霜のように冷たい、不可謬性(ふかびゅうせい)のいかめしさをわずかに含んだ笑いだった。このみごとな名状しがたい永遠の知恵は、命の虚しさと命の努力を嘲(あざけ)っていた。それが荒野、凍てついた心をもった荒涼たる北の荒野であった。
ジャック.ロンドン 著
『白い牙』より
【年間収支】-940
いよいよ北の荒野に到着!(笑)
生還してやる〜(>_<)