お好み焼き

中学生の時、テスト期間中半日で下校した時、女友達と二人で学校の帰りに近所のお好み焼き屋に行った

大きい鉄板を囲むように、丸太のイスが7つ置いてあるだけの小さな店で、おばちゃんが焼いてくれる

その店、同級生の男子の家で、そいつのお母さんがお好み焼きを焼いてくれていたのだ

あたしら知らなかったので普通に食べてたら、クラスメートのノリアキが帰宅してきた

「お帰り〜！ちょうどお昼できたから食べちゃいなー」
あたしらを見て気まずそうに
「えー、あとでいい」
って奥に逃げ込もうとしたが
「片付かないから早くこっち来て食べちゃいなさい！」
って、何にも知らない母はお好み焼きを端の席に置く
渋々座って黙々と食べ始める

「ママあとで出かけなきゃいけないから留守番しといてねー」って息子に声をかける

「ママ！？」
あたしら二人で顔を見合わせて笑いをこらえる
みるみるノリアキの顔が真っ赤になっていって、「もういらねー！」
って席を立つ

「そいつらの顔見てるだけでメシがまずくなる！」

「えぇー！？」
ポカーンとするあたしらを無視してそそくさといなくなる
「なんてこと言うの！ちょっと待ちなさい！」
っていうドタバタ劇があった

今思うと、よっぽど恥ずかしくて逃げ出したかったんだろう

そんなこともほとんど忘れていたけど、この前ノリアキがクラス会で

「あの時のことずっと二人に謝りたかった」
って、言ってきた

母親を「ママ」って呼んでる件を言いふらされるかと思ってた
って毎日怖くて中学生なのに10円ハゲできたそうだ(笑)

あたしらにとってはあまりにも些細なこと過ぎて、話のネタにすらならなかったんだけど、本人は深刻だったんだなー