クリスマス

クソの中のクソ！
クソの世界代表、うちの母親

その日、あたしの部屋のものが全部捨てられていた
服も靴も何もかも

卒業アルバムとか、別にいらねーけど
フォトスタンドで飾ってあった猫の写真も、フォトスタンドごと捨てられていた
三枚しかなかった、亡くなった猫の写真

妹が貰ってきた猫だったがあたしの部屋にばっかりいつも来て一緒に寝てた
猫は死ぬ時に姿を消すっていうけれど、肺に血が貯まる病気で治療もできなくてもう動けなかったはずなのに
玄関で死んでた
あの時、最後の力を振り絞ってどこかに行こうとしてたのか

写真三枚ともなくなっていた
「死んだ猫の写真なんて、気色悪い！」
って言われた瞬間に初めて本気で人を殺そうと思った

リビングにあった武器になりそうなものは、クリスタル製の灰皿だけだった

相手は剣道の有段者だったので脳震盪で動けなくなるまで殴られた

母親に最後に言われた言葉は「さっさと死ぬか、誰にも迷惑にならないところへ消えろ」だった
もっと冷静になって、台所に行って刃物を用意して、不意討ちで仕留めればよかった

クリスマスはミーちゃんの命日
家に来た初日、行方不明になって妹と家中探したらテレビの下のプレステの上で寝ていた子猫
たった1年ちょっとだったけど引きこもりだったニートのあたしといつも一緒に居てくれた

クリスマスが来るたびに、母親への憎悪が蘇えった
次に会った時は絶対殺すと、ムエタイとか習ってたっけ

あれから一度も実家には帰っていない