再会

中学時代の同窓会第３回目が行われた日
前回より人数が増え、懐かしい級友との飲み会が朗らかに行われていたのだが
少し遅れて長い髪の女が入ってきた
「ひさしぶり・・・・」
え？
誰？？

「あ・・」女子の一人が気付いたようだ・・・
ざわざわ・・・ひそひそ・・・
シーーン
張り詰めた空気が流れる・・・

「氷の悪魔」・・・

地元の建設業者の社長令嬢で凶悪な不良女だった・・

小学生の時、ケン坊と２人で０点だった答案の復習をさせられていた時
クラスの男子ナオキが
「お前ら２人とも金持ちなのにバカなのなｗ　金持ちだから勉強しなくてもどうせ家を継ぐんだろ？　勉強なんてしなくてもいいんじゃない？」って冷やかした

ナオキは救急車で運ばれた
置いてあった木製のバットで、「氷の悪魔」がボコボコに殴り
男子がいよいよ動かなくなった時、居合わせたケン坊が体を張って止めなかったら確実に死んでいただろう
「氷の悪魔」は本気で殺そうとしていたらしい

それから、誰も彼女に逆らわなかった
逆らえなかった
教師ですら、なにかしたらヤ○ザみたいな家族が怒鳴り込んでくる恐ろしい家庭の生徒を目の上のたんこぶ扱いだった


そんな「氷の悪魔」が突然、平和なクラス会に現れたのだ
楽しかった雰囲気が一瞬で凍りついた

幹事だった拓海は、今日仕事で遅れている・・
あいつがこの悪魔を誘ったのか？

まだ来ていない拓海の席ともうひとつ、空席があった
「ここ・・座っていい？」
「ひっ！！ど・・・どうぞ・・・」
隣の女子は明らかに怯えている

「このコーラ、飲んでもいい？」
手酌でグラスに注ごうとするまどかに逆側の隣の男子が気を利かせてコーラを注いだ
「ありがとう」ニコッとほほ笑む「氷の悪魔」に、一同、旋律が走った・・・

さっきまでの盛り上がりが嘘のように誰も微動だにしない・・・
最初に動いた奴が獲物・・・そんな空気だった

それにしても、綺麗になったなこいつ・・・
まぁ、ほとんどしゃべったことはないから俺のことなんて覚えてねーだろうな

このクラス会が「氷の悪魔」と呼ばれた女との約10年ぶりの再会だった