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2019/11/23 14:15
再会5
山梨の夜景スポットと言えばフルーツ公園だが、俺が選ぶのは山梨県立科学館
昼間しかやっていない施設で、夜は門が閉鎖される
その門を乗り越えて侵入すれば甲府盆地を一望できる夜景スポットなのだ
もちろん、不法侵入である
スカートの井上にはフェンス乗り越えるの大変そうだったがなんとか乗り越えた
もう1台他の車が止まってる
先客がいるらしい
「真っ暗で怖いね」
照明が全くなくて何も見えない暗闇を歩く
黙って手を握る
肝試し効果で距離は簡単に縮まるのだ
展望デッキに着いて井上が感激した様子で「すごーい!綺麗!!」
そしてこの寒い時期だからこそ、くっついて座れるのだ
もう1組のカップルが向こうで座ってるから、ちょっと離れたとこでしばらく何気ない話しをした
「街中とかで誰か倒れたとき、『誰か救急車呼んでくださ〜い!』って叫んでも、誰も動かないらしい
『そこのあなた、救急車呼んでください』って指名されて初めて人は動く・・日本人ってそういう人が特に多いんだよ」
唐突にそんな話をして、アホの井上は、頷きはするけど、何の話か分からないようだ
「さっきさ、まどかがさ、みんなに向かって『次も参加していい?』って言ったじゃん?
あの場面、全く同じ状況で、代表して返事しようって奴は大抵の場合いないんだよ」
え?そうなの?って井上はキョトンとする
「あの場面で、まどかに『待ってるよ』とか言える奴は俺を含めて誰もいなかった
自覚してないと思うけどお前って、すげぇよ」
まぁ、褒めるところが見つからなければ、何かこじつけて褒めればいいのだ
特に、アホの井上には効果テキメンである
「お前ってさ、自覚してないだけでさ、いっぱい魅力的なところあるんだよ
たった2回、クラス会で会っただけだけど、俺はお前のいいとこいっぱい見つけたぞ」
え?え?なになに?どういうところ??教えて!教えて!
目を輝かせてやがる
自分が口説かれていることにすら気がついていない・・・
アホだから・・・
あっちのカップル、どうやら帰るらしい
2人っきりだ・・
よし、このまま畳みかけよう
「お前にはまだまだ、たくさん魅力がありそうだから、もっと一緒に過ごしてお前のいいとこ、もっと見つけたい」
「え?え??」
「俺の彼女になれって言ってんだよ!」
「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
モテない女は、好きって言われたらその相手を勝手に好きになっていくものだ
結構寒くなってきたから帰ることにした
井上の手が冷たい
俺の上着のポッケに、井上の手を一緒に入れて一緒に歩いた
「さっきの返事は今じゃなくてもいいからな」
焦ってはいけない・・
今日お持ち帰りしようとすると逃がすかも知れん
階段から下を見たら、さっきのカップルが見えた
まだ居たのか・・・
ここで奇跡は起こった