トラウマは突然に　３

中学校に自動販売機は無い・・・

「コーラ飲みてぇ〜」って言われたらコンビニまで走らなきゃいけない

パシリは日常だったけど、まどかの場合はお金だけはちゃんとくれた

その代わり、２本買ってきたうちの１本は

「はい！これからケン坊によるコーラ一気飲みが始まりま〜す！一気で飲みきれなかった場合はチョーク食えよ！」とか、平気で言ってくる
そんな記憶ばかりが甦り、ビール瓶を持ってみんなのところをお酌して回ってる悪魔が俺のとこに来た時に
ビールを何杯一気させられるのか・・・

今すぐ全力ダッシュで逃げれば逃げ切れるかもしれない・・・
立ち上がるなら今しかない！

と考えているあいだに奴と目があってしまった
石化の魔法がかかったかのように体が動かなくなってしまった

奴はメデューサなのか！？
あの長い髪が全部、蛇なのかも知れない

来た・・・とうとう奴が来た・・・もう・・逃げられない
手汗ハンパない

「こんばんわ」
「や・・やぁ久しぶり・・」声が上ずってしまった

普通、同級生に向かって「こんばんわ」とか言わないだろ・・
一体何を！？何を企んでる？俺を・・どうする気だ！
１０年の時を超えて、俺にまた悪夢の日々を提供しにやってきたのか？

思えば、悪魔のいないこの１０年間・・平和だった
俺の人生、この１０年間、安息を手に入れることができた・・
それも、今日で終わってしまうのか

「車で来たの？酒、飲んでないの？？」
あれ？？なんか普通に話しかけられてる・・・
「う・・うん・・いつも、飲まないよ」
そっか、じゃぁ？コーラ？？

コーラ・・・・昔のトラウマが甦る・・・

「う・・・ウーロン茶・・・」
「そっか、ウーロン茶か・・ちょっと待ってて」
ウーロン茶を取りに行った
ビール瓶よりも小さいウーロン茶の瓶は武器として使用されるのだろうか？

「はい！どうぞ・・」とウーロン茶をグラスに注いでくれた
「あ・・あ・・ありがとう・・」
怖い・・・圧倒的な威圧感・・・
過去の悪夢が、彼女をボブサップよりデカく見せていた

運動しなくても心臓ってこんなに動くもんなんだな・・・

「仕事・・今何やってるの？」
尋問か？これは尋問なのか？
正直に自白しないと、拷問されるのか？

「か・・・介護施設のスタッフを・・・」
「そっか〜！なかなか重労働なんでしょ」
「あ・・うん・・そ、そうだね」

あれ？おかしいな・・・
一気飲みや一気食い・・
もしくは何か芸やってウケなかったら裸で踊れ・・とか言わないの？

近くにいたはずのタカフミはトイレに立ったきりこっちに戻らず、拓海達とワイワイ話している
おい・・助けてくれ〜〜友よ！！

「ケン坊！あんたさ・・・」
え？はい・・なんでございましょう！
メデューサの尋問がいよいよ本題に入ろうとしていた・・・