トラウマは突然に　７

まどかが一方的に彼女になったクラス会の日
そのまま長野へ帰って行った

24日・・・クリスマスイブ・・・
まどかを双葉パーキングエリアまで迎えに行ってご飯食べに行った

僕はたまに行く屋台風のおでん屋にまどかを連れていった

いつもはカウンター席だけど今日はテーブル席
カウンター席はよくゴキブリが出没するので・・・

「飲んでもいい？」ってまどかが聞いてきた
「いいよ」って答えた

酒を飲むってことはすなわち、今日は運転して帰れないってことだ
「飲んでもいい？」っていう言葉の裏側には
「わかってんだろうなテメー！？」っていう言葉が秘められているような気がした

梅酒ロックを注文したまどかと、ウーロン茶で乾杯
最初からいきなり
「ケン坊・・・私が彼女って、嫌？」って言ってきた
「え・・・あの・・・嫌って言うか・・・何で俺なの？？」

「自分でもわからない・・あたしバカだし、人の気持ちもわからないし、正しい行動ができないんだよ自分をコントロールできないしさ・・うまく言えないけど・・よくわかんねーや」

「そっか・・・ここのおでんは最高にうまいんだよ」
まどかが、笑顔になった
それは、今まで見たこともない・・
普通の・・・
いや・・・普通じゃない・・・
とびっきり美少女の笑顔だった

「なんで笑ってるの？？」って聞いたら

「いや、高級フレンチレストランみたいな・・・なんか居心地の悪いような店に連れていかれると思ってたからさ・・・まさかイヴの日におでん屋とかｗｗｗ」

そのあと僕の車で夜景を見に行った

「ねぇケン坊・・・あたしのことなんか好きになってもらえないよね？」
え？
「居場所がない・・・」
え？
「この世界のどこにも・・あたしの居場所なんて無いような気がするんだよ！」
僕に向かってじゃなく、夜景に向かって・・叫んでやがる

「どっかに、パズルみたいな感じでさピタっとハマるあたしの場所があんのかもしれないし、そんなもんないのかも知んない」
どうしたんだ？こいつ・・・

「帰る場所じゃなくていいからさ！立ち寄る場所くらいでいいからさ・・・そういうのに・・なってよ」

「だから・・なんで僕なの？他にいっぱいいるじゃん？」

「ケン坊が・・一番関わりが深いから・・・」
関わりって・・・虐待の関わりしか記憶にないんだけど・・・

「僕は、１度も女の子と付き合ったことないから、付き合うってよくわかんないんだよね」

「あたしだって！一度もまともに男と付き合ったことねーよ！」
え？そうなの？？

「ケン坊が迷惑だって言うなら、もう二度と姿見せないようにするからさ・・・もし、そばにいてもいいって言うなら、ケン坊があたしの事、好きになるように努力するから！」

ずっと、甲府の夜景に向かってしゃべってやがる
え？もしかして・・・泣いてるの？

これは、どうしたものか・・・