恋愛初心者同士

２人で初詣行った帰り、まどかがうちに来た

「友達来るから」って言ってあったので母が雑煮を作ってくれていたんだけど
僕がただいま〜って行って帰ると母がおかえり〜って言いながら出てきて
いつもだったら「あらいらっしゃい！」って友達を迎えるのだが
今日は腰を抜かしそうなリアクション・・・

「こんにちは！お邪魔します」っていうまどかに
「あ、あ・・ごゆっくり・・」って言いながら階段上がって行くうちらを呆然と見送る・・

まぁ、そりゃそうだろうな・・・
女の子を連れてきたのは人生初だもんな・・・

きっと今頃階下では「ちょっと！お父さん！！ケンちゃんが！！」ってな感じで騒ぎになっていて
父はいつものジャージから、ちゃんとした服に慌てて着替えているのだろう・・

程なくして、「ケンちゃん！お雑煮できてるからお友達と食べな〜」って呼んできた
いつもだったら作った雑煮を部屋に持ってきて、「お雑煮つくったからみんなで食べなさい」と置いていくけど
わざわざ下に降りてこい・・っていうところに意図を感じる

「なんか、雑煮つくったから食えって親が言ってるから食べてやってくれる？」ってまどかに言ったら
「お父さんもいるんでしょ？何て言えばいいかなぁ？」とか聞かれて・・・

「いや・・・どうなんだろ・・・わからん・・・」
こんな時、どんな対応すればいいのか・・勉強しとけばよかった・・・

「ま・・・まぁ、別に普通にしてりゃいいんじゃないかな？」
って言ってとりあえず下に降りた

父が、ジャケットなんか羽織って背筋シャキっとしてやがる・・・
ゴルフウエアのジャージ着てこたつで箱根駅伝観ながらうたた寝してたんじゃないのかよ・・・

「こんにちは・・あ、明けましておめでとうございます」まどかが挨拶をすると
「いらっしゃい・・おめでとう」って・・・なんで緊張してんのこのオヤジ・・・

まどかが自己紹介したあと、母が「まどかさん、お餅、いくつ入れる〜？」とか台所から言ってきて
「そんなもんテキトーでいいじゃん！」って僕が言う・・
なんでこの場面で「餅いくつ？」とか言うんだろこのオバサンは・・・・

事前に情報を全く与えられてなかったうちの両親は
僕たちがどういう関係なのか・・それを聞きだしたくて仕方ない・・っていう雰囲気だった

「まどかさんとは何繋がりなの？？」って僕に聞いてくる母
いきなり本題だな・・・

「小学校５・６年から中学校３年間同じクラスだったんです」ってまどかが答えた

「そうだったの〜〜！今まで友達って言ったら、まなぶくんとのりひろくんの２人しか来たことなかったから〜！こんな可愛いお友達がいたなんて知らなかった〜！」
いつもと母の声が違う・・・
電話に出る時の声だ・・・

「あ、あたしも、彼と会ったの、このまえ１０年ぶりだったんです！中学校卒業して以来だったから・・」
「あら〜〜〜そうだったのぉ〜〜〜〜！よく来てくれたね〜〜〜今日はゆっくりしていってねぇぇ〜〜〜」

てか、モチ４つも入れやがって・・・
どんだけ餅好きだと思われてんだ・・・

「ご自宅が３F建てって珍しいですね！」ってまどかが言ったら
「注文住宅なんだよ」父がめっちゃ食いつてきた

まどかは建設会社の娘だから３F建てが珍しい・・ってとこに興味を持ったのだろうか？
うちの父は、「よくぞ聞いてくれました！」っていう感じでこの家を建てたこだわりを雄弁に語り始め
さっきまで会話に入れずにモジモジしていたオッサンと同一人物とは思えない程の演説だった

父は結構デカい会社の重役なんだけど
まどかの実家の会社を知ったら、腰抜かすかも知れないな・・・

せっかく気分よく自慢してるから、まどかの素性は隠しておこう・・・

僕とまどかがどういう関係なのか・・・
両親はそこまでは聞き出せず、僕らはまた３Fの僕の部屋に戻った

うちの妹は、友達と出かけてて今日は遅くなるって話だったが、なんか早めに帰ってくるらしい
きっと、母が「すぐ帰ってきなさい！」って言って呼んだんだと思う

妹を使って、なんか企んでいるに違いない・・・