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2019/11/28 22:20
恋愛初心者同士7
僕にとって妹とは敵でしかない
秀才の妹は常に僕を見下してきた
子供のころから夜遅く、塾から帰ってきてさらに勉強
そのころ僕は、洗濯バサミを組み合わせ、最強ロボットと敵ロボットを作り、輪ゴムと割り箸とアルミホイルで作った剣やランチャーで効果音を口ずさみながら1人で人形遊びして「勉強の邪魔だからどっか消えて!」と、汚いものを見るような目で罵られるという記憶ぐらいしかない
妹とは、兄を虐げ、軽蔑と憎悪の対象でしかないというデータしか僕の中にはない
吾輩の辞書からは、妹という文字は削除したい筆頭なのだ
しかしどうだろう
まどか妹のスペックは!
こんなゴミクズみたいな扱いを幼少から受けてきた僕のことを、キラキラした目で直視し、僕の正面に座ってらっしゃる
とんかつ屋だけど、食べ方も気品が漂う
もし、ティアラとかあったら王族、貴族かと思ってしまうだろう
うちの妹が、こんな妹だったらなぁ
きっと、世の中の兄の大半がそう思うだろう
妹の模範!
キングオブ妹!
「ケンボ〜さんって、お姉ちゃんのどこが好きなんですか?」
え?
ここは躊躇してはいけない
とっさに言われてもすぐに答えるべき質問だ
「めっちゃ美人なとこ」
しまった!こういうときは見た目じゃなくて、内面を言うべきだった!
「じゃあ、他に、お姉ちゃんの好きなとこ、あと2つ教えて下さい」
ちょっ!2つっすか!
どうしよう!
まどかは「キャベツと、豚汁おかわり!」
食べてらっしゃる
「オシャレなとこ、あと、雰囲気」
やべぇ
焦って適当なこと言ってしまった!
内面なんにも褒めてないし、雰囲気ってなんだよ!
こんなとこでも公開処刑が始まってしまうのか
「そっかぁー!」
え?それだけ?
ツッコミなし?
「じゃあ、お姉ちゃんは?ケンボ〜さんの好きなとこ3つ言ってみて」
「は??」
意表をつかれたのか固まる
「よくわからん!なんとなく!」
まぁ、そうだろうな
「ケンボ〜さんも答えたんだから、お姉ちゃんもちゃんと答えなきゃダメ!」
後から知ったのだが
無敵のまどかが、唯一、頭が上がらない存在、それがこの妹なのだ
あのまどかが、真面目に答える
「あたしと同じくらいバカだったのに、ちゃんと大学卒業して、スゲーと思った」
「毎日ちゃんと仕事してスゲーと思った」
「介護の資格とか取ってスゲーと思った」
いや、それ、全部普通のことじゃん
「スゲーと思ったことじゃなくて、好きなとこを言わなきゃ!それじゃ答えになってない!」
「……………」
まどかが、怒られてる!
こんな光景、初めて!
「お姉ちゃんね、家で他人の話なんかほとんどしたことないのにね、この頃ケンボ〜さんの話ばっかりするんだよ〜♪」
「ちょっ!」
まどかが、焦ってる!