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2760件のひとこと日記があります。

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2019/11/30 20:59

遠距離恋愛7(第5章最終回)

紅葉を見た後、暗くなってきたので、まどかをパーキングエリアまで送っていった

車から降りたまどかを見送る為に僕も車から降りた

もう、あの綺麗な長い髪の毛は、次に会う時は短くなってしまってるんだ・・・
「運転、気を付けてね・・・」
そう声を掛けたら、まどかは振りかえって僕に抱きついてきた

なっ!!なんだ???

僕の胸にまどかの顔面が、めりこむんじゃないかってくらいに抱きついてきた

どうすればいいのかわからずに
まどかの髪の毛を手櫛でとかすように、ゆっくり撫でた

まどかの息で僕の胸が熱い・・・
鼻水をすする音?

まさか・・・な・・泣いてる???

一体どうしたんだ??

身動きが取れない・・・・
どうすれば・・・どうすればいい???

仕方ないから頭をゆっくり撫でるだけで、何も言えなかった
5分?10分?どんくらい経ったのだろう

まどかが何か呟いた 「・・・・いよ」

え???何???聞きとれなかった・・

「怖いよ!ケン坊・・・・・」

え?え?怖い???
何が??

ようやく理解した

怖くないわけ・・ないんだ・・・
今まで気丈に振る舞っていたけど、やっぱり怖いんだ
そりゃ・・そうだろうな・・・・

付き合ってた頃は、まどかのオンリーワンでありたかった
でも、僕の代用品なんかそこらにいくらでもいるじゃん
僕じゃなくてもいいじゃん
そう思うと、まどかに必要なのは僕なんかじゃない・・・
って思ってた
だけど、今、思った
唯一信頼できる妹にすら見せなかった、焦燥・不安・恐怖

誰にも見せることのできない涙を僕にだけ見せている

僕の胸の中で泣きじゃくるまどかの、唯一弱さを見せられる相手

それが僕だとしたなら、これは今、まさにまどかにとって世界で唯一の存在が僕なんだ

どうしてもっと早く気がつかなかった・・
まどかは、僕を必要としていたんだ
だけど僕は、自分がまどかの特別な存在だって思えなかった・・・

通る人が皆、何事かと僕らを見て行く・・
だけどそんなことは全然気にならなかった

まどかの背中をさすり続け、ようやくまどかの呼吸が落ち着いてきた

そして
「はい!もう大丈夫〜〜〜♪元気チャージ!完了!!」と、ふざけた感じで顔を上げ

「運転眠くなりそうだから、コーヒー買ってきて!微糖で!」って小銭を僕に渡した
コーヒーを買ってる間に、まどかは車に乗り込んで、運転用のメガネをかけていた

僕からコーヒーを受け取ると「ありがとうね」って言った

「じゃぁ、また、連絡するよ」って言われ
相変わらず「うん」しか言えなかった

「じゃぁね!」って、窓を閉めて、まどかは車を発進させた

あのまま帰らせてよかったんだろうか・・・
僕は、何もできなかった
いつも何もできない・・・

そんな頼りない僕を、まどかは頼ってくれたのかな・・・

まどかの車が見えなくなって、僕はまどかに渡したコーヒーと同じのを買った

僕の胸・・・まどかの涙でビショビショだった

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  • オンリーワン

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  • ミナさん

    泣いてもうたやん

    2020/01/04 19:19 ブロック

  • チャイコフ式さん

    やっぱ、けん坊自体も何故付き合っているのか謎のままだったのだろう………

    2019/12/01 09:28 ブロック

  • チャイコフ式さん

    心動けば、身体も動け!

    けん坊………


    優しいがもどかしい………

    2019/12/01 09:27 ブロック

  • りゅうさん

    運命のいたずら

    2019/12/01 07:54 ブロック

  • 烏賊鯖さん

    抱きしめたい

    2019/11/30 23:59 ブロック

  • 井角 才蔵さん

    全俺が泣いた

    2019/11/30 22:20 ブロック

  • M★U(梅)さん

    ケン坊....

    2019/11/30 21:02 ブロック