新章　プロローグ

「ケン坊！あたしにはもうあんたしかいないんだよ！」
泣きながら叫んだ彼女をお墓参りに誘った
同級生のお墓参りだ
中学生の時にクラスメートだったその子は18歳で他界した


中学生の時、不良グループから毎日暴力を受け続けてた頃
「もうやめてあげなよ」クラスメートのリナちゃんが不良の頭に言った

そのことがきっかけでリナちゃんも僕と同じ目にあわされることになった

女子だったから、性的な暴力も含まれていた

僕を助けようとしたばっかりにこんな目にあわされるようになってしまった・・・

僕には親とか警察とか教師とか、どこかに相談するという勇気すらなかった
仕返しという、「未知の恐怖」より、なんとか耐えられている暴力という「既知の恐怖」に耐え続けることならなんとかできると思った
僕には何もできない・・・ただ耐えるばかり・・・

2人とも放課後に不良グループから暴力を受けた後、「リナちゃん・・大丈夫？」僕が言うと
「大丈夫だから早く帰って！」って言った
「でも・・」リナちゃんを一人置いていくわけには・・・

見ると、リナちゃんのスカートの中から太ももを伝って血が・・・

生理中なのに不良グループに下着を奪われたんだ
気付かないふりをした
僕は黙ってリナちゃんを残して帰った

まどか・・・
なんでこんな酷いことをするんだ・・・・

小学校の時はまどかと一緒に居残りでよく一緒に勉強させられていた
気は強かったけど、僕にも笑いかけてくれた

2年経って・・・変わってしまった

僕は殴られるのも蹴られるのも、ただ黙って耐えた
抵抗さえしなければ不良グループだって殺しはしない
だから黙って耐えて時間が過ぎるのをひたすら待てばよかった

でもリナちゃんが酷い目にあうのは苦しかった
誰も助けない・・・
分かっていてもクラスメートも、教師も・・・

リナちゃんは誰かを恨んだだろうか？
恨んだとするならば、まどかを？それとも僕を？

女の子のリナちゃんは僕よりずっとキツかっただろう
辛かっただろう・・・

僕は何て言えば良かったんだろう
「僕なんかを助けようとしてくれてありがとう」なのか？
「僕のせいであんな酷い目にあわせてしまってごめんなさい」なのか？

そのどちらも言えないまま・・・彼女は逝ってしまった