2760件のひとこと日記があります。
2019/12/20 18:23
プロローグ4
まどかを置いて帰った日から全然連絡してなかったけど、いきなり電話して、来月、1日休みを取って欲しいと伝えた
「リナちゃんの家に行って線香上げさせてもらいに一緒に行こう」って誘った
まどかは戸惑っていたけど、翌日「休み取れた」って連絡してきた
僕は既にリナちゃんのご両親に会って来ていた
まどかを筆頭とする不良グループがリナちゃんをいじめていたこと
リナちゃんが僕を助けようとしていじめに巻き込まれたこと
まどかが反省して、罪悪感で潰れそうになっていること
全部話した
そしてご両親に、まどかに会ってもらいたいって伝えた
当日、まどかはフォーマルな服装で現れた
リナちゃんの家に近づくにつれて、まどかの呼吸が早くなっていくのが伝わってきた
着いてすぐ、線香をあげさせてもらった
仏壇に飾られたリナちゃんの写真を見て、まどかはきつく目を瞑った
僕たちにお茶を出してくれたお父さんに、まどかが
「あたしは・・・」と喋り出そうとしたところ
「彼から全部聞いているよ」遮るように話した
「まず、中学時代の虐めと、リナの事故は関係ない・・
リナは自分の意思で進学して自分の意思でサークルに入った
だからリナが亡くなったのは君たちとは関係ないよ」
耐えがたかったであろう娘の死を乗り越え、それでもなお、2年間娘を苦しめ続けたまどかを許そうとしている
「中学の時はつらい思いをしたかもしれないけど、少なくとも娘は、前向きに生きようとしていた
サークルに入って、みんなと仲良くしようとして目立とうとしたのかな・・きっと無理しちゃったんだよ」
お父さんは優しい口調でまどかに語り始めた
「あたしが・・・死んだらよかったのに・・・」ボソっとまどかが呟いた
「なんでリナが死んであたしが生きてるのか・・意味が分かんない・・・あたしが死んだらよかったのに・・・」
まどかが耐えきれず泣き始めた
そしたら今まで優しかったリナちゃんのお父さんが
「バカな事言うんじゃない!」と、声を荒げた・・
「人は生きていればいくつもの別れを乗り越えなきゃいけないんだよ・・辛くても、乗り越えて生きていかなきゃいけない
リナは親より先に亡くなってしまって順番が逆になってしまったけど、私たちは受け容れて生きていかなきゃいけない
終わったことをいくら悔やんでも過去には戻れない・・君はまだこれから出来る事がいっぱいあるじゃないか」
正座したままスカートの裾をギュっと掴んで、流れる涙も拭わずに、まどかは泣き続けた
「過去の過ちを悔み続けてもリナは喜びはしないよ・・いつかリナと天国で再会した時、笑って抱きあえるように,
今を精いっぱい生きようって思って私は毎日を過ごしています・・まどかさんも、天国で娘と再会したら、今度は仲良くして欲しい・・リナのことで一生苦しみ続けても、天国で再会したときにリナは笑ってくれないよ」
台所の方からリナちゃんのお母さんも出てきて、まどかの肩を擦った
「お二人が来てくれてリナもきっと喜んでるよ!ありがとうね!」
お母さんが言うと、まどかが
「また・・・・来てもいいですか?」
「是非来てください」そう言われて送りだされた
帰りの車の中でもずっとまどかは泣いていた
その涙は、何を意味する涙だったのかはよくわからない
でも、少しは背負っていた荷物は軽くなったかな?
少なくとも、贖罪の為に僕の彼女になる・・というようなことよりも、有効だった・・と思いたい