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2018/10/07 07:34
(2)順位縛りを考える
【3.順位縛り付きプロ志望は許されるのか】
さて、ここまでを踏まえて考えたい。
指名順位というものは、あくまで他球団との情報戦の中で決まるものであり、全くと言ってその選手の力量を表していないのである。
ただし、指名順位によって変わるものがある。
そう、契約金と初年度年俸である。
プロ野球の道に進むということは人生において最大とも言える賭けであろう。
成功すれば大金と名声が手に入る。失敗すれば経験の乏しい一般社会に同年代より遅れて復帰しなければならない。
「いくらの契約金なら、プロ野球に入るか」という状況は、「1億円積まれたら、バンジージャンプをするか」というものに近い。
球団側にとっては、この「1億円」という金額設定には何ら根拠はなくむしろ他球団に決められたと言っても過言ではないのにもかかわらず、選手側にとってはその不安定な評価の上に命をかけた大勝負、バンジージャンプを掲げられているのである。
そうなると、「私は契約金が一定額以上でなければプロ野球に入りません」「私を本当に必要としているのなら、一定額以上の契約金を用意してください」となるのは当然のことである。順位縛り付きプロ志望は、選手側にとってみれば、現行制度では仕方のない自己防衛の手段なのである。
しかしだ。
いい給与だからこの仕事を選んだ。
いい人材を獲得したいから高い給与設定にした。
これは一般社会でよくある、入社後の「企業と人材のミスマッチ」の原因ではないだろうか。
近年、ドラフトされてから数年で戦力外となる選手も多いが、この点が問題なのではないのだろうか。
プロ志望届に希望順位を記入するような変化も必要だが、それ以前に自由獲得枠を設けない現行制度であるなら、いっそのこと指名順位に関わらず契約金と初年度年俸を統一してはどうだろうかとさえ思うのである。
1位で入団しても6位で入団しても
高校生 契約金3000万 年俸600万
大学生 契約金4000万 年俸800万
社会人 契約金5000万 年俸1000万
の金額で統一。
プロに入団してすぐ大金を得てしまう現行システムより、数年かけて活躍しないと合計して大金を得られないシステムの方が、プロ側も評価法を変えることなく、また選手側も思い切ってプロ志望できて良いのではないだろうか。