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2019/02/02 13:46

危惧すべき安易な「挫折」表現。

●清宮幸太郎は「挫折」したのか

北海道内では有名な某テレビ局のファイターズ番組でのナレーション。

《清宮幸太郎、一年目得た自信、味わった挫折》

高校通算本塁打の記録を更新し、鳴り物入りで入団した1年目。高卒新人一年目にして一軍で打率2割、7本塁打を放ち、将来を嘱望されるプロスペクトプレーヤーとして十分なスタートを切ったと言えるだろう。

楽天岸孝之から初安打を放った後に好調を維持したが、プロはすぐに対策を練ってくる。5月に打棒が鳴りをひそめると、4試合連続無安打など調子を落とし、ファーム調整を余儀なくされた。しかし、8月再昇格以降はシーズン終了まで一軍に帯同。着々と本塁打を増やし、貴重なパワーヒッターの片鱗を見せた。






●「挫折」とはなにか


果たして清宮幸太郎は「挫折」したのだろうか。

挫折とは辞書にはこうある。

挫折...
仕事や計画などが、中途で失敗しだめになること。また、そのために意欲・気力をなくすこと。(デジタル大辞泉)

もう一度聞こう。清宮幸太郎は「挫折」したのだろうか。

高卒1年目の清宮幸太郎はプレーヤーとして限界に達したわけでもないであろうし、その意欲や気力を失ったというわけでも恐らくないであろう。

この場合の表現は、《味わった「プロの洗礼」》であったり、《味わった「苦悩」》が正確ではないだろうか。

挫折とは、挫けること、折れることである。つまり再起不能か、あるいは完全復活は難しい状態、もしくはその意欲を失ったものを表すと、少なくとも私は認識している。清宮幸太郎が5月にバットの調子を落としたのは、果たして「再起不能」になったのか。いや違う。シーズン終盤に一軍再昇格し、1年目としては十分な本塁打数を残した事実がある。「挫折」という表現は、適切とは思えない。




●斎藤佑樹の「挫折」


思い出したことがある。

斎藤佑樹が右肩関節唇損傷によるリハビリに1年棒に振った際、またそのことに関してメディアはしきりに、アマチュア野球で活躍した過去を引き合いに出し、《栄光と、初めて味わった「挫折」》をテーマにインタビューをし、記事を書き、ドキュメンタリーを作った。

その際斎藤がはじめ「これは初めて味わった挫折ではない」と繰り返していた。長い野球人生で不調に陥ったことも、故障で欠場することもある。プロ野球選手であれば、過去にその経験は既にしているはずである。

現に当時斎藤は復帰に向けてリハビリに取り組み、実験復帰まで果たしているというのに、再起不能でありその意思も失われていることを意味する「挫折」の文言はメディアから消えなかった。

彼の意欲に変化があったのか、さ、一種の障害受容としてなのか定かではないが、まるでメディアが作り上げた「肩の故障で再起不能になったかつてのヒーロー」という虚像に自らを寄せるように、後に彼は「はじめて味わった挫折かもしれない」と故障当初の発言とは異なるコメントを発するようになった。




●「挫折した人」という暴力

「挫折」という表現は、現在諦めず努力を重ねている人間に対しては、あまりに暴力的な表現ではないだろうか。高卒1年目の選手に「挫折」という表現を使ってしまう日本のスポーツマスメディアは、どうやら清宮幸太郎が高卒1年目から3割30本打たないと、いけないらしい。

心配なのは吉田輝星だ。東北の田舎の高校球児がいきなり夏の主役として全国区になり、既に大物ルーキーとして各方面から話題となっている。誰かを悲劇のヒーローにするのが大好きな、暴力的なマスメディアに惑わされる事なく、プロスポーツ選手として歩みを進めてほしい。

https://f-bos.amebaownd.com

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