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2018/11/05 13:43
パーソロンの夢
シンボリ牧場とメジロ牧場とで共同購入されたパーソロンは、シンボリ
スタリオンステーションで種牡馬生活を送ることになる。彼は期待に応えて
多くの活躍産駒を輩出した。旧日高シンボリ牧場のスヰートの末っ子にして
唯一の牡馬はメジロ牧場北野氏の所有馬となり、メジロアサマと名付けられた。
また、シンボリ牧場からはスイートルナ譲りの白斑、天下御免の三日月が光る
シンボリルドルフが誕生した。こうしてパーソロン血統の運命が始まった。
まずメジロアサマは極端に受胎率が悪く、ダメ種牡馬の烙印を押されて
北野氏に返された。しかしその後、数少ない産駒の中からメジロティターンが
天皇賞を獲得、さらにその子メジロマックイーンも続いて、三代連続天皇賞
勝利の偉業を達成した。
一方のシンボリルドルフはオークス馬トウカイローマンとの配合がお流れと
なり、その妹トウカイナチュラルが代打として抜擢された。ところが、未出走の
この母から生まれたトウカイテイオーが、父に続いて無敗のダービー馬となるの
だから競馬は分からない。
そしてメジロアサマの孫メジロマックイーンと、シンボリルドルフの子
トウカイテイオーが激突し、「世紀の対決」としてメディアを賑わすことになる。
パーソロンの栄光はこの頃が絶頂だっただろう。
残念ながら、マックはG1馬を遺すことが出来ず、テイオーは3頭のG1馬を
輩出するものの後継種牡馬に恵まれていない。マックのギンザグリングラスと
テイオーのクワイトファインが僅かにその希望を繋ぐのみである。
しかし夢は終わらない。母父としてのマックが、ステイゴールドとの黄金の
配合で息を吹き返した。そうして誕生したオルフェーヴルやゴールドシップが、
テイオーの娘や孫娘に付けられ始めている。
パーソロンが導入されてすでに半世紀。欧州の二流馬と陰口を叩かれながら
種牡馬として繁栄し、そして衰退を辿った。だが、この血統は多くの馬に
内包されて生き続けるだろう。そうして生き続ける限り、いつかまた脚光を
浴びる時代が巡って来ないとも限らない。