レッドクライム（第61回）　現役引退

　ついにこの日がやって来た。寂しい限りだが、東京サラブレッドの同期馬は
約３０頭。それが５歳末まで走り続けられたのは、わずか数頭だ。故障をしな
かったのが大きい。能力があっても走ることが出来なければ成績を残せない。
丈夫であることが大前提だ。そういう意味ではクライムは良い馬だったし、
管理も良かったのだろう。

　競馬は馬券の的中だけが楽しみではない。育成から引退まで１頭の馬を追い
続けてみれば、競馬を見る目がまた違ってくるかもしれない。そんな思いから、
好きだったオツウの全弟である本馬の成長を見守ってきた。
　あっという間の現役生活ではあったが、「子供の運動会と同じ」という気分を
少しだけ味わった気がする。歓喜は１度だけ、残りのレースは落胆の連続だった。
しかし、元気に走り続けてくれたことに感謝したい。本当にお疲れさま。