レッドクライム（第６５回）今年も祭りに参加

　４月１２日（土）豊橋賀茂神社の葵祭前日に行われた競馬（くらべうま）に、レッドクライム（現馬名：卯月）が２年連続で「出走」した。初参加の昨年は乗り役がまだ幼かったため、大人二人が曳いて速歩までだったが、今年は颯爽と駆け抜けた。

　当日は午後３時前に現地に到着し、早速装鞍所に向かう。卯月は少し眠そうにしていたが、カメラを向ければ徐々に引き締まった表情に。「クーちゃん、頑張れよ。」と昔の名前で囁くと、耳がピクリと動いた。そして裃（かみしも）を纏った乗り役の少年たちが集合する頃には、前掻きをして「早く走らせろ」とばかりに催促を始めるのだった。

　ようやく競馬（くらべうま）が始まったのは午後４時からだ。卯月は３番手を務めた。昨年の砥鹿神社の動画でも観客の「速い」という言葉が聞こえていたが、今回も一番やる気に満ちていて「速いね」の声が飛んでいた。

　ただ、スタートは現役時代同様に伸び上がる「ラビットスタート」で、思わず「お前、変わらないな。」と苦笑してしまった。走り自体も、前方だけでなくやや上方向のベクトルが混じる非効率的な走り。大成出来なかった要因だが、今となってはどうでもいいことだ。走っている時の顔は間違いなく活気に満ちていた。レースと違って、わずか数メートルのところを駆け抜ける祭りだからこそ見ることが出来た表情である。

　帰りのタクシーに乗ると、馬運車に向かって帰路に就く卯月を追い越した。振り返り見た卯月は、久しぶりの本気走りで多少疲れた様子でもあったが、充実した雰囲気が感じられて嬉しかった。