941件のひとこと日記があります。
2018/03/04 11:23
弥生賞
さて、土曜の競馬でもウリボーの大放馬などいろいろと世間をにぎわせていた森厩舎。その森厩舎の話題がドカンとピークに達したのは、先週の日曜夕方、弥生賞の特別登録が出た時だ。
特別登録は日曜の14時頃に第一報が出るからその時点で噂は聞いていたんだが、17時頃に本発表となったのを見てさすがに驚いた。
その名はヘヴィータンク。馬柱は真っ白、なにせ初出走ですから当然です(笑)。
重賞が初出走となるケースはどうやらグレード制導入後は初めて。「いきなり重賞から走らせるなんて、そんなに期待が大きい馬なのか?」なんて声も上がっていたようだが……ぶっちゃけこの馬、全く走らないって話で関係者は全員一致。人によっては「完走できればいいなあ」なんて言う人も……。新馬や未勝利でもタイムオーバーになるような馬だって話だ。
じゃあなぜ重賞出走なんて背伸びするようなことをするのか?そこには賞金の仕組みが大きく関わってくるのです。
賞金というのはいろいろなものがあって、もちろん5着までの馬には本賞というものがあるんだけど、今回焦点が当てられるのはそれとはまた違うところ。
まずは出走奨励金。出てくれてありがとうがんばったね、的な賞金。これは重賞だと6着から10着の馬に交付される。つまり10頭立ての弥生賞では出走するだけでこのお金をゲットすることが可能ということ。ちなみにこの出走奨励金はあまりにも1着馬との差が広がると交付されないってルールがあるんだけど、重賞ではそのルールがなくなるため完走すれば問題なし。
続いて特別出走手当て。重賞だと43万1000円が交付される手当てだが、1800m以上のレースではさらに5万円加算されたものが支払われる。こちらも着差に関しては重賞では不問であるため、完走すれば無条件で48万円ゲット。
これらをばーっと計算すると。
今回ヘヴィータンクが弥生賞を完走すれば【151万1000円】の賞金を獲得できるわけ。ちなみにこれが11着以下になると40万円台に下がってしまうので、10頭立てだからこそ成り立つ作戦ってわけだ。
さらに森厩舎はもう1頭アラウンという馬も出走させる。なのでどちらかは9着に入れるのが確定しているわけで、9着だと【205万1000円】の賞金獲得が確定する。つまり2頭を出走させる事で、厩舎としても350万円ほどの賞金を確保することに成功する!
ヘヴィータンクは関係者が「新馬・未勝利でもタイムオーバー食らうレベル」という話だと前述したけど、弥生賞なら何秒負けても賞金を獲得することができる。つまり、新馬や未勝利でおろすよりも確実に高い賞金を獲得できる大チャンスであったということだ。馬主的にも、厩舎的にもこのチャンスを上手く活用したのが今回の出走という事だね。
森厩舎は独自の視点で番組をまとめており、出走機会をしっかり確保してくる。今回のようなド派手なことはなかなかしてこないだろうけど、日ごろからこういう思惑を持って仕事している関係者がいるというのはおわかりになられただろう。
そして、弥生賞という重賞であっても出走させてきた思惑が公にならないのだから、平場戦における関係者の思惑なんてものはなかなか一般マスコミやS新聞K新聞ではわかる事ないよね。関係者との緻密なコンタクトがあって初めてわかるところではあるので、こういった点を網羅できているという強みが、どれほどのものであるかも少しは伝われば嬉しいね。