66件のひとこと日記があります。
2015/03/08 08:39
スペシャルウィークと弥生賞
昨日はシンボリルドルフについて記したが、近年の弥生賞勝ち馬として印象深いのが1998年の勝ち馬、スペシャルウィークである。
彼の牝系を辿ると、シラオキ、そしてフロリースカップに行きつく。
一世紀にわたって日本で大切にされてきた牝系に、当時最高級の種牡馬であったヒンドスタン、セントクレスピン、マルゼンスキー、そしてサンデーサイレンスが代々かけられた隙のない血統である。
しかし母キャンペンガールは、彼を産み落として間もなくこの世を去ってしまう。
母のない仔の、なんと心細いことか。
輓馬を乳母に、さらには人間の手も借りてスペシャルウィークは成長していった。
主戦騎手となる武豊騎手は、デビュー前からこの馬の素質を見抜き、調教でも騎乗していた。
以降、引退まで2戦を除いて武騎手が手綱を取ることになる。
3戦目にきさらぎ賞を制して迎えた春の弥生賞。
ここで彼は生涯のライバルと出会うことになる。
それがセイウンスカイとキングヘイローだ。
当日1番人気に推されたのは、父母ともに活躍馬の良血キングヘイロー。
スペシャルウィークは2番人気で、地味な血統のセイウンスカイが3番人気だった。
逃げたのはセイウンスカイ。
キングヘイローが続き、スペシャルウィークは後ろから3頭目につける。
直線、粘り込みを図るセイウンを、スペシャルが鋭い末脚で捉え、1着。
以下セイウン、キングヘイローが続いた。
こうしてクラシック大本命となったスペシャルだったが、皐月賞ではグリーンベルトをすいすいと逃げたセイウンに屈し、キングヘイローにも後れを取る3着だった。
続くダービー。
この時点で、武騎手は八大競走の中でダービーだけが未勝利であった。
「なぜユタカはダービーを勝てないのか」。
そんなことが春になると囁かれていた。
しかしスペシャルは、キングヘイローの暴走ともいえる逃げを追走したセイウンを直線でかわし、そのまま突き放すという強い内容で4歳馬(当時)の頂点に立った。
そして武騎手もついにダービージョッキーの栄誉に浴することになったのである。
秋の菊花賞ではまたもセイウンスカイの逃げ切りを許したが、古馬になってからは凄みを増し、グラスワンダーらとの名勝負を演じることになる。
そのあたりのお話は、また改めてさせて頂く。
種牡馬としてシーザリオ、ブエナビスタという名牝を輩出し、昨年はトーホウジャッカルが父の勝てなかった菊花賞をレコード勝ちするなど、2000年代以降の日本の競馬を語るうえで欠かせない存在である。
それだけに、ぜひとも親子でのダービー制覇が見てみたい。
クラシックシーズン、また私の心はときめくだろう。
写真は2012年、社台スタリオンステーションにて撮影。
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エドリンさんがいいね!と言っています。
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らすかるすずかさん
ルージュの夢さん、おはようございます。
親子でダービーを勝つというのは、一昔前にはなかなか難しいことでした。
そんな中で偉業を達成したルドルフ・テイオー親子は、やはり只者ではありません。
しかも無敗での制覇でしたからね。
でもどんな馬にだって、きっとチャンスはあると思うのです。
最近はピカピカの良血馬が幅を利かせていますけど、地味ながらその血を伝えている馬が大好きです。
キャンペンガールお母さんだって、空の上で息子のことをずっと気に掛けていたでしょうから、ダービーを勝って、天皇賞やJCを勝って、父として立派な仕事をしているのを見てホッとしているのではないでしょうか。 -
ルージュの夢さん
ダービーの親子制覇は、ルドルフ、テイオーが断然の光を放っていますね。でも、種牡馬や、繁殖という大変な仕事をしているタイトル保持馬の子供達みんなにそのチャンスがあり、その子達でなければ、出来ない事。
スペシャルウィークの活躍を、今もお母さんはきっと、見守ってくれているはずですね。 -
ルージュの夢さんがいいね!と言っています。