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2016/11/10 01:50
1974年11月9日
70年代から競馬を見ている人ならこの日付でピンとくるかもしれない。世に言う「伝説の平場オープン」が東京で行われた日である。他場のレースといえば重賞ですらVTRで直線しか流さなかった時代に関西U局で生中継したのだから、走る前からすでに規格外のレースだったことは間違いない。
確かに関西にいながらにしてハイセイコーやタケホープのレースを見られるのは当時非常にうれしく、得した気分になった。ただ今となっては、本場以外では馬券も売っていない平場オープン競走を全国発売並みに扱われるのは、関係者にとっては痛しかゆしだったのでは…と思う。
くしくもこの日はタニノチカラも京都でルーキー・河内洋を背にオープンに出走しており、三角ひとまくりで圧勝した。次走有馬記念をぶっちぎるのも納得できる、一段と凄みを増した勝ちっぷりだった。河内はこの日がタニノチカラへの初騎乗で、翌年の二度目の勝利(イットーを下す)の記念写真は宝物として残してあるらしい。
オープンは週明けに登録馬をチェックすることができず、現在のようにネットやスポーツ新聞に「有力馬次走情報」が掲載されるわけでもなかったので、応援している馬が出走しているのを当日の出馬表で(へたをすると翌日の成績欄で)知ることも多かった。特にシルバーランドなどは神出鬼没、いつ出てくるかわからないので気が抜けなかった。だがそれらも今となってはいい思い出である。
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ファンは肩の力を抜いて名馬の走りを堪能でき(冒頭の東京のレースはそうではなかったけれど)、若手騎手は名馬にまたがる機会を与えられた平場オープン。時代の流れとはいえ、競馬から「遊び」の部分がなくなっていくことに一抹の寂しさを感じずにはいられない。