競輪
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2017/01/15 10:18
思い出の日経新春杯
雪の日経新春杯といえばあのレースを思い出さずにいられない。
もっとも、当時大学生だった私は所属する部の定演が迫っており休日返上で練習に出ていたためリアルタイムでは見ていない。帰宅してテレビ報道で初めて知り「えええ、これはえらいことに…」と狼狽した記憶が残っている。
そして翌朝のスポーツ紙に載った
「粉雪の空に流星墜つ」
の見出しは一生忘れることはないだろう。
「そもそもなんであれだけの馬が厳寒時にあの斤量でハンデ戦に出走しなければならなかったのか」
現在の感覚では当然の疑問であるが、当時出走そのものに異を唱える向きは少なかったと記憶している 。これは出走に踏み切った理由が「海外遠征前にもう一度見たいというファンの要望に応えた」と報道されていたことが一番大きかったと思われる。予定されていた海外遠征は1年におよぶ壮大なもので、出発は2月とされていたため、出走するならいずれもハンデ戦の日経新春杯か京都記念しかなかった。また63�舛乃�都大賞典を楽勝していたことで、一抹の不安は抱きながらも「まあ大丈夫だろう」という空気が支配していたのも事実である。個人的にもアラブや障害の実績馬が67やら68を背負うのを普通に見ていたので、「能力が削がれる」ことは心配しても、故障のリスクまでは考えていなかったことは否定しない。管理する小川調教師は「67�舛覆蕕笋瓩襦廚弔發蠅世辰燭蕕靴い�。
ダービーの後小川師が悲痛な表情で絞り出した「関西馬も坂で鍛えなければ」という提言が坂路創設のきっかけとなり、日経新春杯での事故が実績馬の負担重量を見直す契機となり（私のようなファンにも斤量と馬場と故障の因果関係を考えるきっかけを与えてくれた）、1ヶ月半に及ぶ闘病で得られたデータは故障馬の治療の進歩に大きく貢献した。
出生にまつわるエピソード、TTGの名勝負、最後の闘病生活。これほどドラマチックな生涯を送った馬も珍しいが、後世の競馬の「変化」（ルールおよび考え方）に大きな影響を与えた点においても日本競馬史を語る上で欠かしてはいけない存在だと改めて感じた。
今年の日経新春杯は将来性豊かな4歳馬が揃って年長馬に挑む興味深いカードになった。まずは全馬無事に。その上で白熱したレースを期待したい。
