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2017/02/05 13:51
思い出のきさらぎ賞
クラシックへの西の登竜門・きさらぎ賞。
初めてリアルタイムで見て、無敵と信じていたロングワンが後の二冠馬ヒカルイマイに屈し切歯扼腕した71年、東の外車スピリットスワプスの強さを目の当たりにしながら「いや、テンポイントならこの2馬身先を走っている」と強がった76年、格下馬をなかなか突き放せず観戦記に「グシケン苦しい判定防衛」と書かれた78年など印象に残るレースがズラリと並ぶが、最も思い出に残るのは当然のごとく「ニルキング」が出走した75年ということになる。
九州産のハンデを跳ね返して4連勝でデイリー杯3歳Sを制しクラシック候補となったニルキングであるが、その後は紅葉杯9着、阪神3歳S7着と急失速。早熟説もささやかれ、応援するほうも同厩舎の先輩テツミノリの二の舞(同じ九州産でデイリー杯2着後失速し立ち直れず)が頭をよぎり気が気ではなかった。
それでも年が明けてのシンザン記念で3着に踏ん張って悪い流れに歯止めをかけ、このきさらぎ賞が復活が本物かどうか、東へ向かえるかが問われる正念場となった。
当日テレビの前で固唾を飲んだ…と言いたいところであるが、その日は出かけていてダイジェストで見た。
レースは直線大混戦となった。8番人気のスリーフラムが抜け出し、最内をグレイトファイター。大外から1番人気のロングフアスト。最後ニルキングがスリーとグレイトの間をこじ開けるように伸びたところがゴール。結果は1着スリー、2着ロングでニルキングはハナ、ハナ差の3着だった。42年前に1回見ただけの記憶が頼りなので結果以外は記憶違いがあるかもしれない。
勝てなかったものの、これでニルキングは堂々たるクラシック候補として東上。第1戦はスプリングSに決定した。カブラヤオーの存在はあったものの、東京の直線を駆けるニルキングの姿を想像すると胸の高まりを押さえることはできなかった。ところが…。
悲劇は突然やってきた。スプリングSの追い切りで無念の骨折。クラシック出走はあっけなく夢と消えたのである。ロングフアストがダービーで2着していることを考えると…いや考えてはいけないのはわかっているのだが…本当に惜しい故障だった。
ニルキングは翌年春に復帰したが、当時の輝きを取り戻すことはなかった。
果たしてこの時期にこのような高揚感を味わえる九州産馬がこの先現れることはあるのだろうか。馬産地の現状を考えると悲観的にならざるを得ないが、希望は捨てずにこれからも九州産馬のチェックは怠りなく行いたい。