競輪
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2017/03/05 11:48
思い出の弥生賞
以前の日記で「レース前に最も興奮（緊張）した春の牡馬クラシック前哨戦」として74年弥生賞、76年東京4歳S、88年弥生賞を挙げたが、74年弥生賞はレース終了後も興奮状態が続いた。このレースは個人的に「名勝負」と認定されたわけである。その理由は…。
74年の牡馬クラシック戦線。関西にはキタノカチドキという絶対的エースがいた。JRA開闢以来、80年代までは圧倒的な「東高西低」が続いたが、私が見始めた時は71年ヒカルイマイ、二ホンピロムーテー、72年の「関西三強」と牡馬クラシックではむしろ関西馬が優勢だった。それだけに、私は前年ハイセイコー、タケホープに歯が立たなかった屈辱を総大将キタノカチドキに倍返ししてほしいという非常に身勝手な期待をして盛り上がっていた。
第11回弥生賞 1974.3.3 中山1800ｍ 晴 良
��バンブトンオール 55福永洋
��アイフル 55菅原泰
��インターグッド 55笹倉
��ナニワライト 55清水英
��ミホランザン 55柴田人
��カーネルシンボリ 55野平祐
��カネミクニ 55加賀
��コーネルランサー 55中島啓
朝日杯のミホランザン、7戦6勝（朝日杯が唯一の敗戦）のカーネルシンボリ、後にダービーでワンツーを決めるコーネルランサー、インターグッドなど8頭立てながらキタノカチドキとウエスタンダッシュを除く主力メンバーが集結（後の天皇賞馬アイフルはまだ本格化前）。ここで西の二番手グループがいい勝負をすれば本番に期待が膨らむだけに、ワクワクドキドキしながらテレビの前に陣取った。私の期待はシンザン記念を勝ったナニワライトだった。
レースはペースを握ったカネミクニが直線に入っても粘りに粘る。コーネルランサーが内から伸びる。ナニワライトは太目が響いたのか動きが悪く、ミホランザンも早々に圏外へ。
カーネルシンボリはなかなか前が開かずコーネルに一旦抜け出されたが、私が外に視線を移したわずかの間に瞬間移動したかのように先頭に立ち、唖然とする私を尻目にコーネル以下を従えてゴールへ向かう。このまま終わっても後に骨折でクラシックを棒に振るカーネルが強さの神髄を見せつけたレースとして永く記憶に残っただろう。
しかしまだ続きがあった。突如、画面の右端から中央へ黒い影が横切ったように見えた。影は先を行く馬達を次々にパスするとカーネルに並びかけてゴールイン。何が起こったのか。我に返った私はあわてて出馬表に目を落とした。影の正体はバンブトンオール。操るのは福永洋一だった。
いつの間にか関西ナショナリストの私はどこかへ消し飛び、野平、福永という当代きっての名手が見せた妙技の余韻に浸りながら本番で繰り広げられるであろう、上位組にキタノカチドキを加えた名勝負に思いを馳せる自分がいた。「今年のクラシックは面白い！」
74年の弥生賞はメンバーもレース内容もハイレベルで、次走でさらなる名勝負を期待させてくれる余韻を持つ、まさに「前哨戦の鑑」だった。前哨戦とは常にかくありたいものだが、そうそうあるものではないのが現実である。
今年はどんなレースになるのだろうか。
BGM：Enoch Light&His Orchestra“Try a Little Tenderness”
- キタノカチドキ
- ヒカルイマイ
- ハイセイコー
- タケホープ
- バンブトンオール
- アイフル
- インターグッド
- ナニワライト
- ミホランザン
- カーネルシンボリ
- カネミクニ
- コーネルランサー
- ウエスタンダッシュ
- ワクワクドキドキ
- Orchestra
- Tender
