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2017/04/09 10:06
思い出の桜花賞
新装なった阪神で行われた1992年の桜花賞。馬場が改修され、直線に坂ができて桜花賞がどう変わるのか。大いに注目して見ていた。結果はご存じのとおりニシノフラワーの圧勝に終わったが、改めて見るとこの年は非常に個性的なメンバーが揃っていた。
まずは言わずと知れた優勝馬のニシノフラワー。
オークスで見事桜花賞の雪辱を果たしたアドラーブル。
2月末に定年引退した田之上厩舎から野村厩舎に移籍して見事出走権を掴んだ切れ者フリークフィールド。
異次元の血統背景を持つ九州産馬ダンツセントー。
後に悲劇のヒロインとなるサンエイサンキュー。
翌年牡馬相手に金杯→日経新春杯をぶっこ抜き最強牝馬の座に手をかけたエルカーサリバー。日経新春杯は今思い出しても好メンバーだった。
その中で一頭あげるとすればダンツセントー。血統表には、主流血脈から隔絶された九州という地で独自の進化を遂げたサラブレッドの姿が映し出されている。当然ダンツセントーにはこの血を繋いでいく重要な務めがあったのだが、引退後彼女が向かったのはなんと種子島。そこでサニースワローと交配されて牡馬を1頭出産したがその後死亡したらしくこの血統は途絶えてしまった。
ダンツセントー以外でも、上にあげた各馬を祖とする牝系はアドラーブルがエモシオンを出したくらいでまだ結果を出せていない。サンエイサンキューは子供を残せず、エルカーサリバーやフリークフィールドの直系はもはや存在しない。すさまじいスピードで進む「血の更新」の前には繁殖牝馬選定レースであるはずの桜花賞に出走した馬ですら抗えないのが現実である。サラブレッドが経済動物としての側面を持つ以上仕方のないことだが、大レースで人気する馬が「母輸入馬」ばかりでは興ざめなのも確かである。
今年の桜花賞は空前のハイレベルを謳われており、すでに将来の繁殖牝馬としての価値を取りざたされている馬もいる。まずは全馬無事に完走し、競走生活を全うして引退後子孫をクラシックに送り込む馬が一頭でも多く出ることを願っている。