111件のひとこと日記があります。
2018/11/11 18:36
リスグラシューの勝利に寄せて・別項目
リスグラシューの6代母Dilemmaは当時のニックスであったPhalaris×Chaucerの配合の種牡馬を2頭持っていた。PharosについてはNearcoの父で十分だろう。CaerleonはPhalaris産駒の最高傑作とも言われたColoradoの全弟でエクリプスS勝ち馬。全体で見るとセントサイモンの塊のような血統で、良血馬なのが一目でわかる。
私が心奪われたのは、ここからリスグラシューに至るまで、Nearco×Hyperionを主眼に置いた非常に丹念な配合を見せるからだ。
5代母Dilly-Dallyは父にAbernantを迎えて作られた。現役時代は有名な短距離馬で、現代においても先行して前粘りをする脚質を伝えている名種牡馬。
目的はPharosのクロスによってPhalaris×Chaucerの継続クロス、Hyperionのクロスを入れることと思われる。薄いがCaerleon=Coloradoの全兄弟クロスもある。
また、代々配合されてきた種牡馬は中〜長距離場で、そろそろ短距離馬のスピードを注入する目的もあるだろう。
4代母Maradadiの配合の目的は、濃くなった血統の緩和、異形の注入にあった。
父にThe Marshalを迎えて作られたが、情報はあまりに少ない。ただ、恐らくフランスの短距離馬であっただろう。
父父は2000ギニー馬、父父父はサンタアニタダービーなどを勝っている。
The MarshalはPharosこそいないが、全兄弟のFairwayを2本、Hyperionの父Gainsboroughを持ち、継続させつつも緩和させる、とも言うべき矛盾した配合を可能にしている。
また、リスグラシューのボトムラインにおいて初めて米血を導入した馬で、このあたりからも緩和させようという意図を感じる。
3代母Lymaraでは父にLyphard配し、一気に血が現代化した感がある。
ここでNorthern Dancerを初めて入れ、Nearctic≒Dilemma3×3が成立。Nearco×Hyperionの強いクロスができる。当然、Court Martialのクロスも重要だ。PharosとFairwayの全兄弟をそれぞれの子孫で継続させると言うのは面白いし、Maradadiが緩和的な配合だっただけに、強いクロスは配合的に正当。また、Native Dancerにより米血が注入されている。
2代母Miller's Lilyは父にMiller's Mateを迎えて作られた。
日本に種牡馬入りしたり、甥にネヴァブションがいたりと縁がある馬であるが、現役時代の成績はわからなかった。しかし血統は最高級で、祖母Pistol PackerはG1を3勝、凱旋門賞2着の名牝、Vaguely NobleもMill Reefも凱旋門賞勝ち馬という超良血である。
またリスグラシューにおいて、初めてNasrullahを、特にMill Reefを入れたことは特筆物だろう。Nasrullah×PrincequilloやHyperionは現代でも重視されている。
配合的には緩和が目的であると思われるが、上記の通りNearco×Hyperionの継続クロスだけは外していない。
また、Miller's MateはLalunとガンボウという2本の米血を持つ。
そして母Lilisideの父はAmerican Post。フランスのマイラーでG1を3勝。Northern Dancerの強いクロスは母が緩和だっただけに美しい相似配合といえるだろう。Habitat、Bold Reason、Arctic Ternと米血も比較的強い。Lilisideは1000ギニー1着入線も無念の降着、重賞は未勝利。
そしてリスグラシュー。父はハーツクライ。SS×トニービン×Lyphardという満を持しての必殺配合である。
Lyphardで継続クロスをしつつ、トニービンにおいてもNasrullah×Hyperionのクロスがあり、Mill Reefも活かしている。さらに父父にSSが入ることによって3/4Northern Dancerの配合になる。
-
スイートデルマー90さんがいいね!と言っています。