さらばドゥラメンテ

ふりむくな

ふりむくな

うしろには夢がない

ドゥラメンテがいなくなっても

すべてのレースは終わるわけじゃない

人生という名の競馬場には
次のレースをまちかまえている
百万頭の
名もないドゥラメンテの群れが
朝焼けの中で
追い切りをしている地響きが聞こえてくる

思いきることにしよう

ドゥラメンテは

ただの数枚の馬券にすぎなかった

ドゥラメンテは

ただひとレースの思い出にすぎなかった

ドゥラメンテは

ただ二年間の連続ドラマにすぎなかった

ドゥラメンテは
むなしかったある日々の代償にすぎなかったと



だが忘れようとしても
眼を閉じると
あのレースが見えてくる
耳をふさぐと


あの日の喝采の音が
聞こえてくるのだ