仰げば尊し

ドラマの仰げば尊しを見ている。荒れた高校の吹奏楽部が舞台の実話のドラマ化である。私も37歳の時、突然吹奏楽部顧問を命じられた。人事異動で赴任する音楽教師が声楽専門で吹奏楽部顧問を断ったからだった。かつて吹奏楽部にいた私に白刃の矢がたったのだ。私は戸惑った。なぜなら、当時の吹奏楽部は荒れ果て、部員はわずか13人だったから。でも引き受けた。初めて音楽室で13人の部員に会った。まず、楽器置き場を案内してもらった。予想通り使われていない楽器ケースは埃を被り、楽譜や譜面台が散乱していた。掃除が最初の顧問の仕事だった。ドラマを見て、若かりし時を思い出す。帰宅部の生徒に声をかけ、新入生には、私自らサックスをふいて勧誘した。部員は何とか36人になった。懐かしい話である。