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2017/01/24 01:58
2016年 ファウルプレー賞
※注意!
(この文章を読んで不快な思いをさせてしまいましても、我輩は責任を一切負うことはありません。また、偏った見解に対する反論などには返信しませんのでご了承下さい)
ファウルゾーンでの立ち回りにおいて最も活躍した騎手に贈られる。
模反騎手賞とも。
今年は何と言っても、浜中俊騎手が大車輪の活躍を見せた年であった。
まずは二月の東京新聞杯、オープン三連休勝で初重賞の後方待機のダッシングブレイズだ。
内を突こうとして前方に追突しバランスを崩し転倒。ラチの外側に放り出されるという、自らをファウルゾーンに投げ入れながら内側有利の高速馬場に対する疑問を、大怪我してまで表現したと言える。
生命に関わる危険と隣り合わせな凄まじい騎乗への取り組みは、主催者に時計や数字よりも大事な要素を突きつけたに相違なく、馬場造成に対する考え方に影響を与えたのは、騎手の道を極めんとする姿勢に他ならない。
人気馬に付き物のマークより遅れを取り戻す試みでの惨事、怪我からの復帰までの苦しみを鑑み、ノミネートと相成った。
活躍はこれだけにとどまらない。晩秋のマイルチャンピオンシップ。短距離先行馬、ミッキーアイルを曰く付きながら栄冠に導き、3歳のNHK以降遠ざかっていたG1勝利までの長く苦しい戦いに、胸を撫で下ろしただろう。
助っ人騎手に外側に併せられ追い鞭を封印され、万策尽きたかに見えた所、捨て身の鞭を振るい、その策を無に帰するパワープレーを披露。数週間分の騎乗数を犠牲に得た栄誉には数々の厳しい言葉や動きもあるだろうが、先行逃げ切りマイラーの、勝利への執念と競馬の荒々しい部分を引き出し、G1という大観衆に披露した注目度は他髄を許さない。
ファウルプレーオブザイヤーに相応しい活躍を讃え、賞を贈りたい。
関西に負けじと、美浦からは横山典騎手のポリシー溢れる御乗を挙げたい。ノリポツンの異名を取り、該当馬券購入者限定の絶望をプレゼントする、競馬法スレスレの高等戦術に達した鮮明な後方待機策がそれだ。
生涯一度の舞台では思い出のために出走する選択肢を広げ、非常に脆いサラブレッドへの労わりを認められる数少ない騎手として、関係者への信頼と観戦者への疑心を同時に表現させたと言えないか。
その勝負からほぼ無縁の位置、ファウルゾーンにて馬を進める姿は、落馬の巻き添えをさせない安全性を考慮した集大成として、凱旋門賞やダービーにおいても揺るぎ無い無類の安定感を讃え、継続を願いつつこの賞を贈りたい。
公営からも殴り込みが現れた。
愛知のベテラン騎手丹羽克揮の、勝ち味に重い馬に対しゴール後にも追うという掟破りの荒技の披露である。
皮肉にもこの蛮行と呼ばれても不思議でないハッスルプレーが、予想外の鞭に驚いたメイショウコルシカのファンを集める事になったことは、まさにスタートからゴールの範囲外、つまりファウルゾーンでの決断の賜物と言えよう。
騎手には逆風に晒されながらのレースになるが、昇級して尚善戦し続ける地方条件の星を引退まで導いてもらうことを願い、賞を贈ることを決定した。
にも関わらず、開催場所移転となったのは本人にも不本意だろう。
あの鞭が馬に与える影響から動物愛護まで、様々な観点から真実を目にする機会の必要性の低さを主催者が認めたにほかならず、覆すには老いてなお騎乗の精進を求められるだろう。