競馬に目覚め損ねた話

大昔の話ですが
薬局でバイトしてた頃の話です


産休で休んでる薬剤師の先生の代わりにきた先生が大学を卒業したばかりの薬剤師なりたての男の子だったのですが
その先生、競馬大好きだったのです

長崎の大村市というところですが
自衛隊の街だからなのかわかりませんが
やたらとパチンコ屋さんが多く
競艇場もあるので
ギャンブルといえばパチンコかボート
競馬にはあまり馴染みがありません

仕事中暇なときに
男の子先生が話しかけてきました

「競馬好きでよく友だちと小倉競馬場に行くんですよ」

ふーん、そうなんですか

「この前は京都にも行ったんですよ」

あの金閣寺とか清水寺とかお寺だらけの街の中に競馬場があるのか！
へぇ

あまり話に食いつかない私に彼は

「オグリキャップは知ってるでしょ？」
とニコニコしながら訊いてきた

「あー！知ってる！聞いたことある！」

当事、私はオグリキャップのぬいぐるみを車に乗せていた
競馬を全く知らない女の子でもオグリキャップのぬいぐるみを持つほど
オグリキャップは有名だった

彼の競馬話はオグリキャップの名前が出たところが一番の盛り上がりで

そのあと瞳をキラキラさせながら
「○○記念がなんとかなんとか」
「△△△△が□□□□を差した」
とか言っていたような気がするが
そんな彼の嬉しそうな顔を見ながら

この人はせっかく薬剤師になったのに
ギャンブルにのめり込み
将来、借金だらけになってしまうんだろうなぁと憐れんだ・・・・・


チキショー！
あのとき競馬に目覚めていたら良かったのにぃぃ！

と今はめちゃ後悔してます


後悔とは
後で悔やむことです

おしまい