[レディオブサマー]引退

もう駄目なのか…
栗東トレセンでうだなれる男が１人いた。彼の名は畑山雅楽。最近の騎乗馬は特に無し…。それまでの勝ち星は50勝あまり。重賞はシルクロードS勝ちが目立つぐらいで彼に騎乗依頼をする厩舎はほとんどなかった。
そんな彼に新たに入った牝馬レディオブサマーの騎乗依頼をしようと思っている調教師が植田だった。彼の中央の初の重賞勝ちがシルクロードSで、初めてのＧ1・JBCスプリントで連対してくれたのも畑山だった。いつか畑山と未だ未制覇のJBCスプリントをしたいと思っていた。
レディオブサマーの主戦には本来ならばボルキャニックの主戦である高津を乗せるのが流れだが、高津は他の馬の騎乗で忙しい。そこで頭に浮かんだのが畑山だったが、ここ数年依頼をしていないので、受けてくれるか不安であった。
そこで最初に植田から畑山に伝えたのは今まで騎乗を依頼しなかった謝罪の言葉だった。
「畑山。うちの厩舎に功績のある君に長らく騎乗依頼をしていなくて
(続く)