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2011/11/26 19:09
【本日のマイナー血統】“英国の至宝”ブリガディアジェラードの直系が米一般戦勝利
11月25日にパークスレーシング競馬場で行われた一般戦(3歳以上、ダート7ハロン、6頭立て)で、4番人気のWhistle Pig(せん7)が2ハロン22.0、4ハロン44.1の超ハイペースに乗じて、ポツンと最後方から追い込んでゴール前クビだけ差して勝利。通算61戦17勝。前走のステークス2着が最高の戦績で、過去数回のステークス入着があるが、重賞実績はない。
Whistle Pigは4代父にBrigadier Gerardを持つ血統で、母の父がTurn- Toを経ないRoyal Charger系と、なかなかマイナーな配合になっている。Brigadier Gerardは通算成績18戦17勝2着1回。破壊力のある末脚を武器に6ハロン?12ハロンまでのG1に相当する大レースを11勝した、英国競馬史上で最上級の実績、人気を誇る名馬である。唯一負けた相手は後にブライアンズタイム、リアルシャダイらの父となるRoberto。同期にこれまた競馬史に残る名馬Mill Reefがおり、ただ一度の直接対決となった2000ギニーではBrigadier Gerardに凱歌が上がったが、現役時代3年のうち2、3歳時はMill Reefのほうが評価は上だった。
一方、種牡馬としては、英愛リーディングサイアーを二度獲得して現在も一大勢力を維持するMill Reefに大きく遅れを取った。ヨーロッパではすでにその血は途絶えたが、準重賞を勝った産駒のGeneralがアルゼンチンに渡り、米G1を勝ったLord At Warを出して存続に成功している。そのLord At War産駒で勝ち馬の父であるPattonは5歳でようやく米G3を勝った程度だったが、ドバイゴールデンシャヒーン優勝馬Kelly's Landingの父としてその名を残した。
現在主要国では北米とオセアニアで計5頭のLord At War産駒が種牡馬として活動しているが、有力なものはおらず、残念ながら終焉は近い。一応ウルグアイに別の後継がいるようだが、競馬後進国だけに状況を覆すのはほぼ不可能だろう。
なお、日本では直系の輸入種牡馬はいないが、秋華賞馬ブラックエンブレムなどを輩出している、種付け嫌いで有名なウォーエンブレムの母の父がLord At War。かつての快速馬の血は40年の時を経て、思いがけない形で現代の日本競馬に影響を与えていたのだ。