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2012/02/16 19:23
【本マイ血】日本でも一時代を築いたエルバジェ系5歳馬がタスマニア島の準重賞で3着
2月15日にオーストラリアのタスマニア島にあるローンセストン競馬場で行われた準重賞バモスS(4歳以上牝馬、芝1400m、11頭立て)で、1番人気のRebel Bride(牝5)が勝ち馬から1馬身差の3着に終わった。タスマニア島では現地の生産馬とオーストラリア本土からの「輸入馬」が半々くらいで走っている感じ。オーストラリアの種牡馬サイトでないと情報が入らない現地種牡馬もいて、なかなかの僻地っぷり。
Rebel Brideの5代父はHerbager。仏ダービー、サンクルー大賞などの勝ち馬で、種牡馬としては欧米で多数の活躍馬を出した。日本ではなんといってもシーホークの父として有名だろう。シーホークはサンクルー大賞の父仔連覇など、現在の仏G1を2勝。日本に種牡馬として輸入されると、“ナカノコール”のアイネスフウジン、前年のウィナーズサークルと2年連続でダービー馬を出し、ほかにもともに天皇賞(春)を勝ったモンテプリンス、モンテファストの全兄弟と、記憶に残る活躍馬を輩出した。短距離にシフトしたGrey Dawnのラインからは短距離から中距離まで走った、G1を2勝の“名脇役”バンブーメモリーが出ている。
勝ち馬が属するのは伊ダービー馬Appianiのライン。Appianiは凱旋門賞、エクリプスSなどの勝ち馬Star Appealを出し、Star Appealは種牡馬としては期待ほどではなかったが、その産駒で準重賞1勝、重賞では4度の入着程度にすぎなかったStar Wayがニュージーランドで18頭のG1勝ち馬を輩出し、1990/1991年シーズンのリーディングサイアーとなるなど一大勢力を築いた。
勝ち馬の父のTelestoはStar Way産駒のG1ウィナー18頭のうちの1頭で、42戦3勝だがそのうち2勝がG1と、マイル前後の大レースで力を発揮した。ただ、種牡馬としてはステークス勝ち馬3頭とふるわなかった。他の後継種牡馬もG1馬を何頭か出しているが、ほぼ中長距離馬ばかりで、短距離にシフトしたオセアニアではもはや必要ではなくなってしまった。そのためか、現在はStar Wayの血を引く種牡馬はほとんど見当たらない、というか、もういないかもしれない。
日本でもHerbager系はスピード化の潮流に乗れず、前述の活躍馬たちも何頭かの重賞勝ち馬は出したが後継は現れなかった。一応ウィナーズサークルが今も種牡馬登録をされているが、ほとんど活動はしておらず、絶滅したも同然だろう。一時代を築いた血統もトレンドから外れたとみなされるや、潮が引くようにすべてを失ってしまう。サラブレッドの宿命のようなものとはいえ、やはり一抹の感傷を覚えざるを得ない。