さらばボンネビルレコード(２つ目のＧ１〜再び大井へ)

帝王賞を制し春のダート王になったボンネビルレコード
ただ中央に戻れば話は別で…なんと復帰戦は天皇賞チグハグなローテに翻弄された
若い頃から冬場はめっきり走らず、大賞典では的場文男をヤネに従えてもヴァーミリアンの瞬発力に…手も脚も出ず

次の勝利は０８年の５月まで待たなければならなかった
船橋のかしわ記念
中央の筆頭はブルーコンコルドで、帝王賞で負かした相手
レースは中団から進み、向正面からブルーコンコルドが動くと後続も続く…外から大井のフジノウェーブにワイルドワンダーボンネビルレコードは一歩遅れた…いや遅らせたのだ

直線に入り抜け出しを計る人気馬…ここで一呼吸おいて的場騎手の手が動く、ボンネビルレコードが猛追！１馬身出た所がゴールだった
船橋を知り尽くした的場文男の腕が光った…ゴール後に小さく右腕が挙げる…自分はボンネビルレコードのベストレースはこれだと思っています
でもインタビューで的場騎手に笑みは余り観られなかった

『中央で鍛えられて一段と強くなりました』

この言葉…大井一筋３５年、打倒中央をポリシーとする大井の帝王には複雑な心境だったに違いない
中央に行って突如強くなったとは思わない…事実同じメンバーを相手に違うヤネでは着順が逆転するのだから
そして粋な計らいか♪表彰式は的場騎手の勝負服で行われました

連覇を狙った帝王賞では年下のフリオーソに破れます…春のダイオライト記念でも捕まえきれず、後輩に対して分が悪いようだった
迎えた日テレ盃ではフリオーソの鞍上に当時ぺーぺーの正太郎(今も)が抜擢された
下馬評はフリオーソ優勢…ただ今回ばかりは黙っちゃいない

直線手前で早めに射程に入れると壮絶な一騎討ちをモノにします
この時のレコードは未だに破られずに残る

南関重賞においては常に的場文男を鞍上に出来るし、掲示板を外さない走りを見せるも…他地区では地方馬には地方の騎手、中央馬には中央の騎手しか認めないなどの事情から騎乗が敵わず…毎度のごとく乗り替わりがあり思うように結果が出ない
管理した美浦の堀井調教師も園田のＪＢＣの時には頼みこんだそうですが…

的場騎手が唯一中央で手綱を取ったのはＷＳＪに出場した、０９年のＪＣＤボンネビルレコードには荷が重かった。大井ではＷＳＪ出場を兼ねて、壮行会まで行ったんですが…的場騎手自身もＷＳＪで最下位に終わります

中央を毛嫌いする騎手…
そして中央馬でありながら、南関でしか良績が出せないボンネビルレコードが…中央所属でいる意味はあるのかとゆう疑問が浮上する
そんな思いと重なるように次第に南関においても下降線を辿り…２０１０年の川崎記念では勝ったヴァーミリアンから大差の６着８歳とゆう年齢もあり、ついにＪＲＡ登録を抹消

しかしボンちゃんは現役を続けます
そう！故郷に帰って来たのです
大井競馬場の庄子連兵厩舎。２歳〜５歳の間、ボンちゃんが過ごした場所
実はこの当時…庄子厩舎の看板馬だったバグパイプウインドが急逝そんなバグの魂を受け継ぐような兄貴分ボンちゃんの復帰でした

初戦には大井記念
バグの主戦を勤めた的場文男と庄子調教師は言った

『もう一花咲かせて…バグパイプウインドの弔いにしよう』
『よしやろう』

当時の船橋の上がり馬セレンの前に破れるも、インで塞がる不利や斤量を考えれば勝ちに等しい内容〓やはりボンネビルレコードには胴赤・白星散らしの勝負服が似合う

そして次走は３年前に頂点に立った帝王賞
８歳を迎え、新世代が頭角を現したダート界…テーマは世代交代カネヒキリ・ヴァーミリアンにフリオーソやサクセスブロッケン、スマートファルコンが挑戦する構図でした
ボンネビルレコードは９番人気で中央からの出戻りは…どう考えても能力が低下したからと期待は薄かったのです

『この馬だって帝王賞馬だよ？夢を持たなきゃ…一泡吹かせてやる』


人気馬に噛み付いた時の的場文男こそ…最も怖い
パドックでは亡くなったバグパイプウインドのメンコを着けるボンちゃん…愛する大井の為、急逝した後輩の為…

ボンネビルレコードの魂は燃えた

続く