走れ！優駿学園７３(追悼・トウカイテイオー)

ついに…



□ □□

『テイオーのヤツ…何を落ち込んでるんだ』
『やっぱり…輪っか付ける時はさ察してあげてよ貴方』
『……』


『うぅ……』
『テイオー』

『父上……』
『気持ちは解るがな…輪っかはいつかは必ず付ける宿命だ確かに２５歳は…私にも！あの老いぼれの息子にも及ばぬ年齢だがな』
『……』

『それに中途半端に無敗の二冠で留まりG１はたったの４勝…このバカ息子めが！』
『貴方何考えてんのよ！それじゃいつもの説教じゃないのよ』
『慰め方など知らん！』

『父上…母上……もう辞めてください…』
『テイオー…』
『そんなに落ち込まないでね？』


『…見てくださいよ！こんなにタテ髪が抜けてるんですよ〜〜！！』




『ぶぅぁ〜〜か野郎！！何を落ち込んでるかと思えば！抜け毛だと』
『父上は良いですよ…ハゲ散らかしてますから…』
『散らかしてはいないわ！』
『僕はアイドルなんですよ…イケメンなんです……見た目が取り柄なんです……完璧な牡なんです…なのにハゲてしまったら』
『…２５歳のオッサンが何をほざくか！』

『イケメン過ぎるんです…イケメン過ぎるんですよ僕は！』
『病気だ貴様は…それで輪っかのデザインは決めたのか？』

『父上は確か史上最高額の輪っかでしたよね』
『当たり前だこの皇帝の…』
『まぁ僕は質素なモノにしますよ♪親子でキンキラキンだと…白い目で見られますし』
『ふんだからと言って古臭い輪っかは選ぶなよ前にも言ったが我が家は王家なのだからな！』
『貴方ぁテイオーの自由にさせてあげてくださいよ〜』




□ □

『あのぉ…トウカイテイオーですが』

『うわぁ本物ですかぁ！！みんな〜トウカイテイオーが来たよ』
『本当に〜〜♪』
『きゃあああ〜〜！』

『皆様バブル世代なんですかね…』
『あの有馬記念で何度泣いたか！！』
『私はテイオーさんを信じて単勝買ったんです』

『天使が馬券を？…まぁ良いや…輪っかを決めたいのですが』

『テイオーさんにはこれを♪』




『くっはぁ〜まぶしい！何すかこれは』
『天下のトウカイテイオーですよ？問答無用の総ダイヤモンド製ですわ』
『父上でさえダイヤは散らしてある程度なはず…』

『あんなオジンはどうでも良いですのテイオーさんにはこれくらいの輪っかじゃないと！』
『…あの父上より高いと…世間的に』

『心配ご無用…こちらね〜取り外しが可能なんですほら』

『あらま質素な輪っか…』
『ですから外出用と、ご自宅用に』

『…値段は……』

『っもぅ〜〜〜トウカイテイオーともあろう方がお金の心配なんて〜』
『そりゃ貯金は幾らでもありますが…父上が色々と…』

『みんなのアイドル…トウカイテイオーですよ？』
『名馬と言えば？ディープインパクト？オルフェーヴル？』
『私たちはトウカイテイオーと答えますわ』


『そ…そうですか…じゃあこれで』




□ □


『……儲かったわねぇ』
『あそこの家はみんな単純よね』
『あとは校長の息子ね…♪』



『みんなのアイドルかぁトウカイテイオーもまだまだ捨てたモンじゃないなぁ〜〜！明日から家庭教師頑張るか〜〜！』


腹黒い天使にご注意を
トウカイテイオーのご冥福をお祈りいたします