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2017/12/30 19:37
JRA騎手「神10」誕生の悲劇…2年連続
JRA騎手「神10」誕生の悲劇…2年連続トップ10に変化なし「1年100勝単位」で広がり続ける騎手格差に悲鳴(GJ)
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12月28日開催が終了し、2017年の全日程を消化した中央競馬。例年にないハイレベルなリーディング騎手争いは、今秋からのロングスパートで戸崎圭太騎手を振り切ったC.ルメール騎手が外国人騎手として初のリーディング獲得で幕を閉じた。惜しくも武豊以来の年間200勝はならなかったが、199勝は歴代4位の記録。また、武豊騎手が年間200勝超えを達成していた頃との大きな違いは、戸崎騎手やM.デムーロ騎手が食い下がったことで、しっかりとリーディング争いが行われたことだ。例えば武豊騎手がJRA記録となる年間212勝を達成した2005年の第2位は、横山典弘騎手の134勝。数字でわかる通り、リーディング争いという観点では早々に決着がついていた。逆に今年は1位が200勝に到達する寸前だったにもかかわらず、秋口までルメール騎手の独壇場にならなかったばかりか、デムーロ騎手を加えた3人の争いとなったのは極めて異例。過去に例がないほど、ハイレベルなリーディング争いとなった。ただ、述べるまでもなく全体のレース数は限られており、上位陣がハイレベルなデッドヒートを繰り広げると、当然ながらそのしわ寄せは下位陣にやってくる。言い換えれば、華やかなリーディング争いの裏で、騎手同士の「格差」はますます広がったということだ。
その傾向を如実に表したのが「1054」→「1132」→「1263」という数字だ。
実は、この数字は過去3年間の「リーディングトップ10」入りを果たした騎手10人の勝ち星の合計である。ご覧いただいた通り、2015年からここ3年間で「毎年約100勝」が上積みされている。言い換えればトップ10以下の騎手の勝ち星が、毎年約100単位で減少し続けているということだ。無論、下位の騎手であればあるほど目の前の1勝を掴めるかが死活問題であり、そう考えれば極めて深刻な事態といえるだろう。さらにこの深刻さに輪を掛けているのが、上位陣の固定化だ。下記は昨年と今年のトップ10騎手並びに勝ち星の一覧である。ご覧いただいた通り、綺麗に10色に分けることができた。つまり、トップ10は「2年連続まったく同じ騎手10人で固定されている」ということだ。AKB48の「神7」ならぬ「神10」である。そして彼らの"取り分"が、今年になって「1132」→「1263」と131勝分、さらに下から吸い上げられたということだ。「リーディング上位騎手の技術が優れているのは当然ですが、ここまで極端な格差が生まれるのは、偏に騎乗仲介者エージェントの影響が大きいと思いますね。騎乗仲介者は騎手にとって、騎乗依頼を整理して最適化してくれる非常にありがたい存在です。ですが、無駄がなくなり合理的な効率化が進むほど、上位陣にスキがなくなり下位陣との格差は広がりやすくなります。今はとにかく有能な騎手に、有能なエージェントが付き、有能な馬が集まる時代。もともと勝てば勝つだけ、勝ちやすい馬が集まるのが騎手界のサイクルだけに、今の時代で何の手立てもなくリーディング上位に顔を出すのは至難の業といえますね」(競馬ライター)
競馬を主催するJRAはそういった騎手の格差問題も重要視して、今年エージェント制度の見直しに踏み切ったが、残念ながらほぼ空振りに終わってしまった。実は昨年、そして今年のトップ10の内、戸崎騎手と内田騎手、デムーロ騎手と川田騎手、福永騎手と岩田騎手はエージェントが同じであり、来年ますます"力"の編重が加速しそうだ。しかし、こうした勝ち星の一極化や格差問題の拡大は、こういった見るに堪えない悲惨な末路へ「確実に近づいている」ともいえる。果たして、大規模なエージェント改革を断念したJRAはどう考えているのだろうか。