競輪
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2024/01/25 23:53
<アーカイブ>白井元調教師と学ぶ血統学【２４】クロフネの運命を変えた�犹�件��
元ＪＲＡ調教師の白井寿昭氏を指南役に迎えて送る、好評連載の２４回目。日本におけるヴァイスリージェント系の代表的な種牡馬で、アイドルホースでもあったクロフネについて、今回は検証していきたい。進行は東スポ競馬・関西地区本紙担当であり、白井氏との親交も深い松浪大樹記者。今回も初出しのエピソードが満載。必読のコラムになっている。
松浪大樹（東京スポーツ記者＝以下、松浪）日本で活躍したヴァイスリージェント系の馬といえば、やはりクロフネということになりますよね。今回は同馬について、掘り下げていきましょう。
白井寿昭氏（元ＪＲＡ調教師＝以下、白井）了解した。で、クロフネは僕にとっても思い出の１頭やしな…と言ってほしいんやろ？
松浪 はい。そして、それはJIS+2D60あの一件JIS+2D61のことを念頭にしてのものですので、こちらから話を進めていく所存です（苦笑）。
白井 まあ、そう来ると思っとったけどな（笑）
松浪 お気を使わせてすみません。なにせ、ニーズがある話ですから。
白井 で、どこから話せばいい？ 当時（２００１年）の天皇賞には、外国産馬のJIS+2D60出走枠JIS+2D61みたいなものがあった。このあたりの状況は、さすがに知ってもらっているのかな？
松浪 そこは大丈夫でしょう…と言いたいところですが、２０年前の話ですからねえ。新規ファンの方のために補足は必要かも。
白井 それなら、さっと説明しようか。あのころの天皇賞は、外国産馬が出走できる上限が決まっていて、それは２頭までだった。０１年の天皇賞・秋で１つ目の枠はメイショウドトウで決まっていて、残りの１枠をクロフネが狙っていた。
松浪 なのに、それを先生が管理していたアグネスデジタルで阻止しちゃった
白井 権利を行使しただけなんやけどな。ウチの馬のほうが賞金を持っていたわけやし。
松浪 もちろん、理解しています。しかしながら、周囲はクロフネの出走を期待していたようで、天皇賞出走を表明したアグネスデジタルに対し、ネガティブな意見も散見されました。
白井 いまは「それも思い出の一つ」と笑って振り返ることができるけど、いろいろと物議を醸した出走だったのは間違いないね。ノーザンファームの吉田勝己さんからも連絡があってさ。「先生、ホントに使うの？ マジで？」って。あの言葉、忘れられんわ（苦笑）。
松浪 ノーザンファームとしては、クロフネを出したかったでしょうからねえ（苦笑）。
白井 でもな、改めてクロフネの戦績を振り返ったとき、あの馬の運命を変えた事象は、アグネスデジタルの天皇賞出走。これで間違いないと思わんか？
松浪 確かに。あの状況でのダート転向、その舞台での大成功があったからこそ、種牡馬としてのイメージが湧きやすくなったと思います。
白井 デジタルにはじかれる形で、クロフネはダートに路線を変えた。それが競走馬としてだけでなく、種牡馬としての未来まで違うものにした。だからこそ、僕はこう言いたいね。デジタルの天皇賞出走は競馬の歴史を大きく変えた「ウィンウィンの決断」だったと。
松浪 ウィンウィンかもしれませんが、恩恵はクロフネのほうが大きかったかも。
白井 まあ、当時の本音は「どっちも勝ってホッとした」なんやけどな。で、どうする？ ついでなので。ここでデジタルの話もするか？
松浪 あの馬の父はクラフティプロスペクターで、母父はチーフズクラウン。取り上げる機会は残っていますし、とりあえずはJIS+2D60お預けJIS+2D61でいきましょう。ファンは残念でしょうが（苦笑）。
白井 仕方がない。では、次のタイミングにしようか（苦笑）。
松浪 では、クロフネに話題を戻しますね。ダート初戦の武蔵野Ｓが９馬身差、続くジャパンカップダートは７馬身差の圧勝でした。あの馬のポテンシャルについて、先生の評価は？
白井 競走馬としては「もったいない」の一語に尽きる。仮に屈腱炎での早期引退がなければ、日本のダート競馬の歴史を大きく変えていたやろうね。
松浪 同感です。ダートを走ったのは２回のみですがそれほどのインパクトがありました。
白井 余力を残して引退したほうが、種牡馬として成功する確率は高いと僕は思っている。生産者の立場で言えば、あれでＯＫやったのかもしれんけどね。
松浪 ファンとしては、現役時代の走りを１走でも多く見たかったです。まあ、故障ですから仕方がないところですが。
白井 今回の連載にあたり、楽勝したジャパンカップダートを改めて確認してみたんやけどな。僕が思っていた以上にクロフネは「アメリカ的な馬」やったわ。いまさらやけど、種牡馬としての特徴を予測できるような、そんな走りをしていた。
松浪 その「アメリカ的な馬」という部分を、わかりやすく説明すると<続
- リージェント
- アイドルホース
- クロフネ
- メイショウドトウ
- アグネスデジタル
- ファー
- クラフティ
- スペクター
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※クロフネは後継種牡馬に恵まれなかったが、代わりにではないが輸入された同じヴァイスリージェント系の*マインドユアビスケッツ (2013年 栗毛) が、現在では活躍している。
2024/01/26 00:18
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続7半のほうが速い後傾ラップ。瞬発力勝負に泣いた、とも考えられますね。
白井 しっかりと脚をため、瞬発力を生かす。ダートにおいても、そのような競馬を求められているのが日本の競馬やからな。まあ、スプリントＧ�気紡弍�できるスピードを持っている時点で、クロフネの潜在能力の高さは証明されているわけやが。
松浪 クロフネ産駒にとっての距離の壁は身体的なものではなく、ヴァイスリージェント系の特徴から来るもの。条件さえ合致すれば、こなす可能性はあるということですね。
白井 それも含めての適性と考えれば、クロフネ産駒の距離適性は、マイルまでということになるかもしれんけどね。
白井寿昭（しらいとしあき）１９４５年生まれ。広島県呉市に生まれ、大阪で育つ。１９６８年に上田武司厩舎の厩務員となり、１９７８年にＪＲＡ調教師免許を取得。１９７９年に開業した。１９９５年のオークスをサンデーサイレンス産駒のダンスパートナ2024/01/26 00:12
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続6んけど、ＢＣクラシックを勝ったオーサムアゲインとか、アメリカの馬は距離をこなしている。
松浪 確かに。オーサムアゲインもＢＣクラシックを勝ったゴーストザッパーを出してますから、このラインは距離に課題がない、と考えることもできますね。
白井 クロフネの持っていた心肺能力の高さは、デピュティミニスターの代表産駒たちにヒケを取らないレベルのものと思っているし、となると、先週に話をした「アメリカ的な馬」であったことが、ネックになったのかなあ、と。
松浪 サバイバル戦になるアメリカの競馬と、道中に緩急が必要な日本の競馬とでは、求められているものが違う。こういうことですか？
白井 日本ではマイル戦でも緩急が必要になる場合があるからね。流れのブレが少ないスプリント路線のほうが、より力を発揮しやすい…というか、計算がしやすいのかもしれんな。
松浪 ソダシが大敗した昨年のチャンピオンズＣは、前半よりも後2024/01/26 00:10
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続5のなら、そのレベルに合った格のレースを選んであげるべきで、確かに交流競走にはダートのスプリント戦があるけど、それ以上を目指している馬なら、あえて出走する理由もない。
松浪 しかしながら、フェブラリーＳ、チャンピオンズＣを目指すクロフネ産駒がいないというのは、少し不思議な感じがしますね。
白井 僕は距離をこなせるクロフネ産駒が少ないことのほうが、よほど不思議に感じるけどね。違和感と言ってもいいかな。
松浪 どうしてです？ ヴァイスリージェント系は淡泊なスピード馬が多く、どこかで止まってしまうイメージがある。そのように言っていたのは先生自身ですよ。
白井 まあ、それはそうなんやけど、トップクラスの馬──それこそ、この系統の評価を引き上げたデピュティミニスターの産駒に対して、僕は距離の壁があると思ってなくてね。もちろん、２４００メートルとか、それ以上の距離になれば、また違う答えになるかもしれ2024/01/26 00:09
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続4松浪 そもそもの出走数が多くないんですよ。フェブラリーＳに限れば、ソダシで４頭目。
白井 そうなんか？ さすがに結果を出すのは厳しいかもしれんが、それも意外な数字やな。
松浪 豊富なスピードと心肺能力の高さ。これがクロフネの長所だと思うのですが、スピードのある優秀なクロフネの産駒は芝のスプリント、もしくはマイル路線に行ってしまい、そこで結果を出す。なので、ダート路線に挑戦してくれないんですよ。
白井 マイル前後を走れる馬の番組は充実しているし、一方でＪＲＡにはダートのスプリントＧ�気�ない。これが大きいのとちゃうかな。その番組があれば、チャレンジする馬はいたかもしれんがね。
松浪 ０８年のスプリンターズＳを勝っているスリープレスナイト。あの馬、ダートで６勝もしているんですよね。賞金１億円のスプリントＧ�気�あれば、まず使っていたでしょう。
白井 結局はそこだよな。Ｇ�気鮠，椎呂魎浜�している2024/01/26 00:08
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続3たけど、芝・ダートの二刀流が可能な馬はいる。でも、どちらかで成功を収めているとき、ちょっとした失敗を大きくクローズアップされる。その決断には勇気がいるものなんや。最近は結果を急ぎ過ぎるところがあるしな。
松浪 そうですね。すぐに結果を出したアグネスデジタルは、稀有な例なんですよね。
白井 マイルＣＳは会心の結果やったが、それでも、天皇賞・秋で２０００メートルの距離に挑戦したときにはいろいろと言われたもんだよ。すでに芝のＧ�鞠呂笋辰燭里法紛貍弌法�
松浪 そう考えると、チャンピオンズＣの１２着で撤退せず、挑戦を続けた陣営の決断は大したものですね。大いに称賛したいところです。
白井 そうやな。それに応えたソダシも褒めてあげたい。
松浪 では、クロフネ産駒の話に戻りましょうか。適性はダートという話でしたが、一方でダートのＧ�鞠呂鮟个擦討い覆い鵑任垢茲諭�
白井 確かに。全く思いつかないな。
松浪2024/01/26 00:07
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松浪 了解です。ちなみに先のフェブラリーＳで３着と巻き返しに成功したソダシ。これも距離短縮が功を奏したものでしょうか？
白井 距離短縮にワンターン、ワンペースの競馬。これがソダシに合ったんやろうな。状態や相手関係なども考慮しなくてはならないし、さすがに中心視するところまではできなかったけど、血統的にダートはこなせると思っていた。想定の範囲内ではあったよ。
松浪 僕もです。ダートうんぬんの問題ではなく、精神的なものがどうなのかな、と思って評価を下げちゃいましたが。
白井 クロフネ×キングカメハメハというわかりやすい配合。母系はダート血統だし、むしろ、デビュー時は芝に疑問を持たれていたんじゃなかったっけ？
松浪 その通り。ソダシを管理する須貝調教師に「誰もが先入観を持ち過ぎて、適性はダートと言ってくるんだよな」とたしなめられたことがあったくらいです（苦笑）。
白井 アグネスデジタルでもそうやっ2024/01/26 00:05
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続2で考えられない場合もある。この部分には注意をしないとな。以前にも話題にしたけど、クロフネほどの馬でも、日本ではリーディングサイアーになれなかった。その事実は重いよ。
松浪 なるほど。それは「アメリカ的な馬」という部分が理由になるわけですね。
白井 クロフネの話は、もう少し続けるんやろ？ なら、その部分を次回以降は掘り下げて
白井 では、クロフネのイメージ、その適性に関するところから、話を進めていこうか。まあ、その答えは聞くまでもないだろうが。
松浪 そうですね。芝よりもダートの適性が高く、一流クラスになると距離に壁がある。すでにデータとして結果が出ています。
白井 多くの産駒が積み上げた数字やし、信用できるな。まあ、距離が持たない、と聞いたときは「へえ、そうなんか」と思ったりもしたが、確かに中距離以上の距離で活躍した産駒は思いつかない。その理由についても、今回は考えていくつもりやけどね2024/01/26 00:04
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続白井 下手な小細工をせず、エンジンの違いのみで他馬を一蹴する。そんなタイプということやね。悪く言えば、淡泊とも表現できる走りやけど、こんな感じの名馬がアメリカには多い。よどみのないペースでレースを進めながら、最後までバテない。そのような馬を彼らは好むからね。
松浪 その形で押し切る馬でなければ、高い評価をしてもらえない気がします。これは国民性でしょうか？ 白か黒のような、ハッキリした結果が好きですもんね。
白井 駆け引きのない競馬が面白いかどうかは別として、このようなスタイルは種牡馬選定レースとして、理にかなっていると思うよ。少なくとも、似たような競馬になるアメリカでなら、現役時代の成績とパフォーマンスを参考にできる。純粋な能力のみで勝ち上がってくるわけやからさ。
松浪 種牡馬としての信頼度が高くなるのも必然ですか。
白井 ただし、日本はアメリカのような競馬でないから、同じようなイメージ2024/01/26 00:02
