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2025/10/22 23:54
ミックスセールで「4.6億円ホース」落札総額は過去最高ノーザンFが描く未来
21日火曜日、北海道のノーザンホースパークでノーザンファームミックスセール2025が開催された。繁殖牝馬では上場された67頭のうち53頭が落札、当歳馬では66頭全頭が落札されている。当歳馬では、今年のシンザン記念を勝ったリラエンブレムの半弟にあたるキタサンブラック産駒のデルフィニアIIの2025(牡)に4億6000万円の値が付くなど、今年も大盛況であった。
そもそもノーザンファームミックスセールどんなセリなのか。
■繁殖セールから始まった当歳のセリ
「始まりは繁殖セールです。種牡馬を別にすると、基本的に牧場には繁殖牝馬とその子供がいます。牧場が大きくなれば繁殖牝馬が増えますが、面倒を見ることができる繁殖牝馬の数には限りがあります。新しく繁殖牝馬を導入したり、牧場出身の牝馬が競走馬生活を終えて牧場に戻ってきた際には繁殖牝馬を入れ替える必要が出てくる。そんな繁殖牝馬の売買の場として繁殖セールが存在してます」
そう語り始めたのは中堅馬主のレーシングマネージャーM。
国内では、新ひだか町のジェイエス社による繁殖セールが40年ほど前から開催されているほか、一時期は社台グループによる繁殖牝馬セールも行われている。ノーザンファームも以前はジェイエス社の繁殖セールで売却していたが、売却する繁殖牝馬の数が増えたこともあり、2019年から自前で繁殖牝馬セールをスタートした。
「自前で繁殖セールを始めたノーザンファームですが、ブランド力で集客は問題ないですし、セリの運営もセレクトセールで経験済み。何よりも頭数が増えると牧場から北海道市場(新ひだか町)まで連れて行くのが大変。自前でやるのがベストでしたね。ノーザンファームの繁殖牝馬セールは好況で注目を集めて、繁殖牝馬のセリだけで勿体ないということで2022年から当歳馬のセリもスタートしました。繁殖牝馬セリと当歳馬のセリをミックスしたので、ミックスセールというセール名となっているんです」
ノーザンファームはセレクトセールへの上場、もしくは系列クラブへの提供という形で生産馬の大半を売却してきたが、牧場が大きくなったことで生産頭数も増加。新たな販売機会が必要となり、それに対応したのがこのミックスセールだ。
■今年は過去最高の落札総額
「上場される当歳馬の位置づけとしては、セレクトセール上場馬やクラブへの提供馬に比べるとやや下のようですが、そこはノーザンファーム。他の牧場ならエース格となるようなレベルの馬ですから、購入したいというバイヤーも後を絶ちません。第1回の上場馬からサトノカルナバルが函館2歳Sを制したのをはじめ、続々と勝ち馬が誕生したこともあり、昨年は1億円超えの取引馬が誕生しました。そして今年はついに4億6000万円馬が出ました。もちろん、ウチは買えませんでしたけど……」
ほかにはアイルランドオークス馬カルタエンブルハーダの牡(父エピファネイア)が2億円、CCAオークス馬マラクージャの牡(父キタサンブラック)が1億8000万円で落札されるなど1億円超えの取引馬が9頭。66頭の落札総額は43億3200万円で過去最高となった。
「もともとは繁殖牝馬の入れ替えのために始めたセリで、当歳馬の販売は後から加わったオマケのようなもの。それでこれだけの売上になるのですから、さすがはノーザンファームです」
更にミックスセールはこれだけでは終わりでないと言う。
「今年のミックスセールでは当歳で43億、繁殖牝馬で6億の計49億の売上がありました。普通の牧場ならこれで万々歳なのですが、ノーザンファームはこれからが勝負。今回の売却代金を原資に11月の海外の主要セリで、また新たな繁殖牝馬を買いに行くのです。11月には米国でブリーダーズCがあってノーザンファームからはフォーエバーヤングなどが参戦しますが、ノーザンファームにとってはブリーダーズCではなくて海外セールのほうがメインと言ってもいいほど。いい繁殖を買ってきて産駒を高く売って、そのお金でさらにいい繁殖牝馬を買う。このループが続く以上、ほかの牧場はノーザンファームに勝てませんよ」
菊花賞、天皇賞・秋、ブリーダーズCと、ノーザンファームの有力馬がエントリーする大レースが続いていくが、ノーザンファームの原動力はセリの売買による「サイクル」にある、と言っても過言ではないようだが、当然ながら生産馬の活躍があってこそ。今週もミックスセール出身馬が出走予定であり、アルテミスSには新馬勝ちのモンローウォーク、新潟2歳S2着のタイセイボーグ、そして菊花賞には有力馬に数えられるショウヘイがスタンバイ。その勢いには注目したい。


