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2011/06/16 10:15
【禅寺の裏恋物語】(17)
七夕が終わるとすぐお盆である。
お坊さんにとってお盆は、苦行になる。13?15日の3日間で一人当たり900軒平均、24時間休まずに回る、いくら短いお経とはいえ一軒一軒仏壇の前に座り経を唱える。
街中は良いが田舎の山道、田んぼ道はマムシが居るから大変である。戦時中の将校がはいてた長靴を譲り受け陣袴の上に革製の長靴をはいて暗闇を提灯一つで次の家に移動する。次々と伝令が飛んで先触れして頂いておき、待ち時間を無くすために皆さんが協力して頂いたものである。
15日にもなると、お経は間違える、二回も繰り返す、疲労もピークに至る
そんな時、バナナを一本戴くのが何よりご馳走であった。
15日の18時半になると精霊流しが始まる。
初盆の家のみが船を作り頂いた盆提灯を飾り付ける。お供えやお飾りを積み込み、浅瀬の浜から流す船一層にお坊さん三人が付沿い先導する、金(チーン)、太鼓(トーン)、冥鉢(ジャーン)とならしながら海まで送る長崎の精霊流しとは違い、厳かである!!
これはお寺の行事であり、一切お布施は受け取らない、無料である。今とは違い、寺と檀家との間に心の絆があったょうな気がする。精霊船は竹筏の上に藁船を作り蝋燭を灯したありったけの提灯を飾った物である。漁船で沖まで引き出して流す遠い家の船はお寺の庭で組み立てるので、あまり遠い迎はなかつた。何せ12時までには終わらさないと、日にちが変わると流せなくなる!お坊さん達は、汗だくで、疲れと重なりフラフラでお勤めをしている僕は12時になると鐘を突く流し納めの合図。後は一斉に火が点けられて燃えながら、前海を西に向かって流れていく、この時になって初めて永久の別れに感応し涙を流す人が多い。お葬式の時と違い本当の別れになると言われる。
本当に意味のある精霊流しとは、格なる物であろうと思う