59件のひとこと日記があります。
2011/06/27 16:39
【禅寺の裏恋物語】(28)
今日は日曜日、千秋ちゃんとの約束の日、
奥さんは子供を連れて病院に行った。
お坊さんは夫々檀家さんの法事や月命日に出掛けている。
お寺には僕が一人で留守番をしているので、畑にも行けない、何時人が来るか解らないからである。
他のお坊さん達も用事がない限り日曜日には出てこない。夕方になると当直の坊さんがやって来る。
たぶんそれまでは、僕一人であろう。
僕は久利の襖をみんな開け放って表のガラス戸も開けた。
すると風が渦を巻きながら通り過ぎていく、裏庭の池の畔の萩の木の葉が、裏返るほどに強く涼しい風であった。
朝が早いためなかなか昼にならない。
昼飯はどうするかな…!千秋ちゃんに何か記念になるものはないか、お金はないし何かを作るしかない。
彫刻刀やナイフはある。
そうだ可愛いお地蔵さんを彫ろうと思い立ち適当な木を探し回った。
あまり固い木は難しい。蒔き置き場に銀杏の枝があったのを思い出した、これはいい。
鋸で20?の長さに切りノミで彫りだした。
実際には小さなアクセサリーになるような、可愛い顔立ちに仕上げようと完成像を思い浮かべながら彫っていたら。お昼はとっくに過ぎていた。
ま、いいや、彫り終ってから食べよう、と熱中した。直径2,5?、高さ4?の小さな仏様が出来上がった。
小さなコケシみたいなものである。自分なりに初めてにしては上出来である。
お菓子包みの、組紐を探しお地蔵さんの頭の後ろに開けておいた穴に通し、房飾り結びをしたら立派なお土産になった。自分なりに満足している!
ー続きは又ー