【禅寺の裏恋物語】(47)

奥さんは着物が好きで今日も夏物の呂の一重の下に白の半襦袢と腰巻きである!
こんなに気持ちの良い青空の下での、愛の交換ははじめてである。虫達の愛の合唱が尚更僕の心を解してくれる! 力一杯抱き締めて今までに教わった愛の表現で愛情を込めて尽くした。
彼女も虫達の仲間入りして、一緒にコーラスを始めている。
僕は皆のコーラスをリードするように、タクトを振り続けた!
第四楽章も終わりに近ずき一段と皆の歌声に高まりを表現している。シンバルが鳴り、一気に静けさが帰ってきた。
虫達は又鳴き始めた、太陽は山蔭に隠れている。遅くなった、早く帰らないと、みんな待っているかもしれない。 山を降り始めたが森の中は既に暗くなっていた。
二人は転けないように手を繋ぎ庭に降りていった!
案の定余りに遅いのでみんなが心配していたようであった
奥さんのお兄さんも学校から帰っていた。
校長をしているから、かなり厳格である!僕には何にも言わないが、妹の和子さんには厳しい!! かなり厳しく怒られたようである!僕はお寺の子供達と風呂に入りサムエに着替えた、しばらくして夕食だったが。 その席で、和子は明日帰りなさい、子供を連れて!そしてよほどの事がない限り帰ってくるな!!どうも甘やかされて育っているから、我儘でいかん。 と言明された 流石に陸軍大佐だけあって、威厳がある
誰も口答えできない雰囲気である
これでは明日帰るのが一番良いような気がした