ビコーアルファー号 〜Aさんの愛した馬〜

ビコーアルファー号の
母クリレモン号の祖父はクリノハナ号で、
生産所有者は、ライスシャワーの馬主であった
栗林氏の父です。

種牡馬入りしたクリノハナ号には、
腰麻痺の持病があった為、繁殖牝馬が集まらず、
これに不満を持った栗林氏の父は、
彼を買い戻し、自己所有牝馬を付けると
その恩に応えるかのように…
3頭もの天皇賞馬を輩出しました。

そして…
種牡馬生活の後期を過ごしたユートピア牧場で
1965年秋、敗血症で亡くなったそうです。

この血脈に繋がるせいかも知れませんが、
Aさんは、ビコーアルファー号を応援していました。

彼は、現役引退後…
阪神競馬場で誘導馬として働き、
2007年7月、17才で此処も退くと
京都の平安騎馬隊「笠置」号として活躍しました。

担当者であった女性警察官にとても可愛いがられ、
「笠置と離れる時の事を思うと…とても辛い」と
話すその方に、
「いっそのこと、貴女の側にいる時に眠るように
逝ってくれたら…その方がいいかも知れませんね」
と話したというAさん。

色々な事を、電話で二人話しているうちに
いよいよその日が近づいて来て…
騎馬隊の引退馬達が暮らす養老牧場へ
明日行くという…

別れの前日に、非番だった女性警察官の方が
笠置の放牧地で一緒に過ごしていたのですが、
ほんの僅かの間離れた隙に…
眠るように静かに旅立ったそうです。

2014年9月8日、24才でした。

愛してくれた女性とAさんへの
感謝の想いに溢れたようなその最期に…
感動の涙が零れます。

ライスと同じく輝くような漆黒の馬体が
とても美しかったビコーアルファー号、
ライス亡き後…Aさんは、
その面影を彼に重ねていたのかも知れません。

Aさんから頂いたビコーアルファー号の写真を
彼の掲示板にUPしています。
宜しかったらご覧になって下さい。