リキエイカン号命日に

もう20年近く前になりますが…

当時シンザンのサラブレッド長寿記録更新に近づいていた
春の天皇賞馬リキエイカン号に逢いたくて、鮫川牧場さんを訪ねました。

突然の訪問にも拘らず、牧場の奥様は、お忙しい中作業の手を止めて
「リキはうちの宝です！」と言って、色々な話をして下さいました。
その優しさ、この牧場の温かさに
「是非リキさんに長寿記録を更新して貰いたい！」と心から願いましたが…

2001年7月2日、シンザンの記録に14日及ばず、リキエイカン号は天へ還って行きました。

場長さんとリキさんの感動の実話が「誰も知らない日記 名馬リキエイカンの大往生」として
北海道新聞のコラムに書かれていますので、ご覧になって頂ければ幸いです。

其の後、牧場は人手に渡り…
高齢で行く先のないヤエノダイヤ号の処分を言い渡された時、
ご自分達の住む所より先に、必死に預託先を探され、彼を守りました。
ヤエノダイヤ号は、数ヶ月後其処で26才で亡くなりましたが…
きっと場長さん達に感謝しての旅立ちであった事でしょう。

牧場の閉鎖前、年間僅か2〜3頭の生産馬の中から輩出された
重賞2勝、JCダート2着のグロリアスノア号の活躍は、
「鮫川牧場」の名をこの先もずっと語り継いで行って貰う為の
生産馬達からの恩返しに思えてなりません。

「グロリアスノアに逢いに行きたいね」と話されていた場長さんは、
その願いが叶わないまま…50代の若さで病気により旅立たれてしまいました。

種牡馬となったグロリアスノア号の唯一頭の初年度産駒が
「レッドシリウス」と命名されている事を、
今はもう…馬を離れ静かに暮らしておられる奥様に教えて頂きました。

リキさんに逢いに行った後、馬仲間と共に贈ったのが「赤い馬着」
「シリウス」は、ナイル川氾濫の時期を教えてくれる星で、
水が引くと上流からの沃土の堆積で、耕地が豊かになるそうです。

レッドシリウス号には、
辛く苦しい事が沢山あったけれど、何よりも馬を優先し、
本当に本当に温かかった鮫川牧場さんの名を
「父グロリアスノアの故郷」として知らしめる可く
活躍と無事な走りを願い、ずっとずっと応援していきます！


〈写真〉晩年のリキエイカン号と鮫川場長さん リキエイカン号の墓