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2017/04/28 09:13
スナック「パドック」・天皇賞・春(2017)
「3着にシャケトラが来ていくらになるかな?」マスターがいつになく真剣な眼差しで聞いてきたので
「アタマはどっちを考えているんだい?」と逆に尋ねた。
「もちろん、ブラックでしょ」と迷わず答えてきたのは自信の現れだった。
「10倍は超えるよ。だって大魔神の馬がいるからね。」と常連客のケンちゃんが口を挟んだ。
「それじゃぁ美味しい馬券になりそうだな」マスターは満更でもない表情だ。
「ダイヤモンドが二番人気なの?」桃ちゃんは不満のようだ。
「ダイヤモンドがブラック何かに負けるわけないわ」そう言って右手の薬指に付けている指輪を回した。
「ダイヤモンドの価値があんた達には分からないわよね」
桃ちゃんに言わせるとダイヤモンドには女を黙らせる魅力があるという。
「女をものにしたいならダイヤモンドを贈ることよ」
桃ちゃんはダイヤモンドに目が眩んだ思い出を持っている。
「ダイヤモンドが頭なら20倍はあるんじゃないか」ケンちゃんのトーンは上がる。
「おいおい、オッズで買い目を変えるほどオレは落ちぶれちゃいないぞ」マスターは譲らない。
「何も一点に絞ることはないだろ。もしもの保険は必要だぜ。」
そう言いながら残りのジャックダニエルを煽り、グラスの氷をカランと鳴らしたオレは
「あの二頭にアルバートが絡めば凄いことになりそうだな」
と言って空になったグラスをマスターに見せると
「あいつは長距離が得意だからな」とマスターが腕を伸ばしてオレのグラスを引き寄せた。
「あいつはダメダメ。所詮アルバイトだから...」ケンちゃんが茶化す。
「あらっ、バイトの方がいいんじゃない?ダメもとだもの」と桃ちゃん。
そこへ向かいのアパートに住んでいる留さんが飛び込んで来て
「やったよ、ついにやったよ。筒香が打ったぜ、ついに打ったぜホームラン!」
ベイスターズファンの留さんは少し目頭をウルませている。
乾杯だ!乾杯だ!
長距離砲のお目覚めにスナック・パドックは大いに盛り上がった。
日曜日の春天も長距離砲が爆発すると大いに盛り上がるのだが...。