590件のひとこと日記があります。
2017/05/17 18:46
スナック・パドック「オークス」レース前
「トランプが張り切ってるなぁ」
マスターはここのところのニュースの話題が気になるようだ。
「あの顔は嫌いだな」ケンちゃんは興味が無い様子。
「メディア批判が凄いな」オレも顔は嫌いだが興味はある。
「トランプは何かをやってるよな、探られたら痛い何かがあるな」
マスターはそう言ってキュウリを切り始めた。
「でもトランプの言うことも分かる気がするよ。だってアイツら、酷いもんな」
オレはメディアの追及を受けたことはないがそう言ってマスターの意見に賛同した。
「よくいるよね、芸能人のメディア嫌い。たまにケンカしてるじゃない」
ケンちゃんもそっち方面なら興味がある。
「メディアとマスコミと、どう違うんだ?」マスターは疑問を投げた。
「同じだよ。メディアはマスコミの一部だよ」オレはそう思っている。
「オグリキャップ、知ってるだろ?」オレがケンちゃんに話しかける。
ケンちゃんはいつもそうだがスマホを常にいじっている。
「知ってますよ。失礼だな」ケンちゃんが怒った。
「そうだよな。オグリを知らない競馬ファンがいたら、それは潜りだよな」
オレはケンちゃんの肩にそっと手をやって軽く謝りを入れた。
「オグリを知らないヤツはモグリだなんて、シャレてるなぁ」
マスターはそういうのを拾うのが実に上手い。
オグリキャップは地方の笠松で走っていた馬だ。連勝、連勝で快進撃を続けた。
名前は、馬主の小栗さんと父・ダンシングキャップから名付けられた。
こんな凄い馬を中央で走らせない手は無いと、半ば強引に中央入りが決まる。
3歳春の事だった。中央でも勢いは止まらず、天皇賞・秋でタマモクロス(牡4)に
敗れるまで、重賞を6連勝していた。ジャパンC(3着)を経て、有馬記念では
タマモクロスを下して優勝をしている。そして、4歳時の活躍は半端なものでは
なかった。と言っても3歳時の疲れが残り春夏は治療に専念して、オールカマー
(中山・芝・2200m)からスタートとなった。難なく優勝して、それからが凄い。
毎日王冠(1着)→天皇賞・秋(2着)→マイルCS(1着)→ジャパンC(2着)→
有馬記念(5着)。マイルCSとジャパンCは連闘である。この連戦でオグリの
身体はガタガタになっていた。それでもオグリは走らなければならなかった。
5歳になって、安田記念(1着)→宝塚記念(2着)と走った。
秋に入ってオグリの体調はかなり悪い状態になっていた。
この天皇賞・秋のレース前にテレビがオグリの特番を組んで徹底取材を行った。
厩務員であった池江さん(池江調教師の伯父さん)は当時の取材の酷さを話して
いる。関係者が帰ったあとにも人参を使ってオグリに近づき取材を続けたという。
その影響でオグリはバッタリ飼い葉を食べなくなってしまったのだという。
仕事とは言えやり過ぎである。馬の体調のことなどまったく考えていない
無謀な取材である。これが大きく影響したのだろう。その後は
天皇賞・秋(6着)→ジャパンC(11着)と大きく負けてしまう。だが、しかし、
オグリはラストランの有馬記念を不屈の精神で勝つのである。武豊を背に見事な
優勝を成し遂げたのであった。
「トランプとオグリをいっしょにしないでよ」ケンちゃんは不満のようだ。
「それだけメディアってヤツはメチャクチャやるんだよ」
オレはメディアの常識の無さを強調したい。
「しかし、あのオグリのラストランは凄かったな」マスターは少し感情的になる。
「オグリはメディアに勝ったんっすよ」ケンちゃんは拳を突き上げた。
「そうだな、オグリは結果を出して、メディアに見せ付けたんだな」
マスターはさらに感情が高まりケンちゃんと一緒に拳を突き上げた。
「でも、メディアは何とも思ってないぜ」オレだけひとり冷めている。
あの傲慢なほど勝手気ままなメディアにトランプはどう立ち向かうのだろうか?
確かにメディアは勘違いしている部分がある。
「世界は俺たちが動かしている」そう思ってつけあがっている部分はある。
さぁ、トランプがどういう手を打つのか、大いに注目している。
「オークスの予想をしようよ」ケンちゃんは不満をぶつける。
「そうだな」と言って新聞を広げるが三人の話は進まない。
3歳牝馬の頂点を決める大切なレースだけにここは慎重に臨まなければならない。
いざっ!オークス!