590件のひとこと日記があります。
2017/05/19 21:06
スナック・パドック「オークス」レース前2・前編
「しかし、アドマイヤミヤビは何であんなに負けたかなぁ」
マスターはミヤビの桜花賞での走りに不満を持っている。
「フケだったんじゃないの?」ケンちゃんは咄嗟に答える。
「牡馬のフケを見つけたなんて言うヤツが良く言うなぁ」
マスターは先日の大ボケを持ち出して上目遣いでケンちゃんを見る。
「それを言わないでよ」ケンちゃんは少し恥ずかしそうな顔をした。
「ヴィクトリアMのミッキークイーンもそうだったし、桜花賞のスターリングだって
そうだったように原因はナゾ、分からないままさ」
オレは競馬とはそういうものだと思っている。
「府中で変わるかね」マスターは今回の頭で狙っている。
「ミヤビは器用な脚を持ってるからね。」オレも注目している。
「クイーンCでアエロリットを交わしたあの脚はキレてたよね」
ケンちゃんは目を瞑って映像を思い出している。
「府中だとあの脚が使えるんだよ、あの馬」オレもあのキレ脚は高く評価している。
「そうか、デムーロだし、今度は大丈夫だよな」マスターはそう願っている。
「オークスね」桃ちゃんはマスターの競馬新聞を広げて見入る。
「どの馬がいいっすかね」ケンちゃんもその新聞を覗き見する。
「一番綺麗なのはどの子?」桃ちゃんはそう聞いてきた。
「えっ?綺麗な子?」ケンちゃんは大いに戸惑っている。
「速いのは誰?強いのは誰?じゃなくてそう来たか」
マスターもいささか返答に困っている。
「ミスパンテールだな」オレはジャックダニエルをチビリとやってそう言った。
「明るい鹿毛で身体の線が何とも言えない美しい曲線を描いてるんだ」
オレは両手を使ってその美しい曲線を表現して見せた。
「いいわねぇ。その馬にしようかな」桃ちゃんはそう言って新聞を見る。
「人気無いじゃない。いいわ、いい。それで行こうよ」
ポーンとケンちゃんの肩を叩く。ケンちゃんはオーバーに痛がって見せる。
「ブラックスビーチも美しいぞ」オレはもう一頭引っ張り出した。
桃ちゃんは「黒い砂浜?いいじゃない。気に入った」と言って
もう一度ケンちゃんの肩を叩きにいったが今度は逃げられた。
「ファッションショーじゃないんだからさ。綺麗な馬って...」
マスターは怪訝な顔になる。ケンちゃんも大きく頷いている。
「いいじゃない。女の祭典なんだから...いいのよ、それで」
桃ちゃんは生ビールのジョッキを豪快に煽る。
「ソウルスターリングはどうなるんすかね」ケンちゃんは心配している。
「どうなるって...どうなるんだい?」マスターは困ってオレに振ってきた。
「器用さは無いな。アイビーSの時に右手前に代えたのはゴール寸前だからな」
オレは少し心配している。
「でもペルシアンナイトに勝ってるじゃん」ケンちゃんは結果第一主義者だ。
「今度は1.5マイルだから直線での疲れ度合いが全然違うだろ」
オレは利き脚の左前脚の疲労度が気になっているのである。
「リスグラシューの方が人気になるような書き方だよな、新聞は」
マスターは愛読紙の情報を上げる。
「桜花賞2着だし屋根が武豊ですからね」ケンちゃんが情報を入れる。
「アルテミスSの勝ち方が良かったからな」あのレースは強かった。
「モズカッチャンも強かったよね」ケンちゃんはあのときの感動を思い出している。
「あんな所から良く伸びて来たよな」マスターも彼女の根性に一目置いている。
「レーヌミノルが逞しく見えるのは気のせいかな」オレは彼女の成長に注目している。