590件のひとこと日記があります。
2017/05/26 14:59
スナック・パドック「日本ダービー」レース前・2
やっぱりサトノアーサーがいいな」
今週の調教を見てオレがそう切り出すと
「ステップが悪いから切るって話はどこへ行っちゃったんすか?」
すかさずケンちゃんからクレームがつく。
「あれは使い過ぎのローテが悪いって話だろ。間隔が空いてるんだから話しは違うだろ」
オレはもっともな話しをする。
「どっちにしてもダービーを狙うステップとしてはいかがなものかな」
マスターも今回は切りのようだ。
「ダービーね」
桃ちゃんは普段ほとんど馬券を買わないがダービーだけは欠かさず毎年買っている。
「今年は絶対的な主役がいないから難しいっすよ」
ケンちゃんはそう言ってグラスのビールを煽る。
「筋骨隆々なイケメンはどうだい?」
マスターがスポーツ紙のアドミラブルの馬柱を指差してそういうと
「わたし、ムキムキマンは苦手だな」そう言って生ビールのジョッキを煽る。
「あれっ?そうなの?意外だな」マスターは少し肩を落とした。
「少し頼りないくらいがいいな」長い指で挟んだマルボロの煙を燻らせた。
「頼りない馬がダービーを勝つのは大変だぜ」
オレがピスタチオの実を頬張りながらそういうと
「応援のし甲斐があるじゃない」桃ちゃんはそう言って目を輝かした。
「頼りない馬って何っすかね」ケンちゃんはポツリと呟く。
「内股で走る馬とかあっちフラフラこっちフラフラで真っすぐ走れない馬だろ」
マスターがそう言ってケラケラと笑う。
「そんな馬がダービーに出るわけないでしょ」ケンちゃんは呆れ顔だ。
「あながちそうとも言えないぞ。トラストなんかどうだい」
オレはここのところの走りを見て正直頼りないと思っている。
「岡田さんトコの馬だし期待はされてると思うけどな」
マスターはNHKマイル8着を評価している。
「期待の芦毛だからね」ケンちゃんも見限れない様子。
「芦毛と言えばウインブライトがいるだろ」マスターが思い出したようにそう言うと
「ウインブライトは頼りない馬じゃないっすよ」ケンちゃんが否定すると
「そうじゃなくて期待の芦毛と言えばブライトだろって話さ」
「皐月賞では期待して見てたからな」オレも注目の一頭に上げているが
「調教の動きが皐月賞当時より明らかに落ちてるな」と少しがっかりしているのだ。
「さぁ、俺はどの馬から入ろうかな」ケンちゃんは迷っている。
「お前だけだぞ頭が決まらないのは」マスターはそう言って余裕をみせる。
「稀勢の里が休場して白鵬が久々に優勝しそうだから1枠の馬を買うのはどうだい」
オレは大相撲にヒントがあるとアドバイスすると
「白鵬をハクフォーと読んで1−4がいいぞ」マスターが完全に乗って来た。
「稀勢の里の出身地、茨木の牛久から4と9をいただいて1−4−9で行きますか」
オレも調子に乗ってそう言うと
「うんうん、あるかも」ケンちゃんの乗りの良さは天下一品である。
「いいなぁ、単純で。お前は幸せ者だよ」マスターは妙な言い回しをした。
「枠順が決まる前に数字だけ決まるのって面白いね」ケンちゃんは満更でもない。
「留さんといい、お前といい、数字先走り型でダービーをとるなんてコトになったら
俺はもう競馬をやめるよ」マスターは両手広げてお手上げポーズだ。
競馬の祭典・日本ダービーを占うのにこんな形になってしまって情けない。
「どんな形でも予想は予想ですよ」とケンちゃんは胸を張るのだが・・・。