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2017/06/14 22:03
スナック・パドック「ユニコーンS」レース前・その1
「日曜日の東京のメインはユニコーンSだね」
ケンちゃんはこの3歳馬限定のダート戦を楽しみにしている。
「NHKマイルCで2着に飛び込んで来たピューマがまた狙いか」
マスター愛読のスポーツ誌ではグリグリの◎が行列で付いている。
「芝もダートもOKの両頭使いですからね、リエノテソーロは」
ケンちゃんはゾッコンだ。
「もうファンがごっそり付いたから人気になるぞ」
マスターはそんなことを言うが本命派なので大いに気になっているはずだ。
「面白い馬を見つけたよ」オレはスポーツ誌の馬柱を指さす。
「えっ、何?何?」ケンちゃんは興味津々だ。
「まっ、この馬のデータをスマホで検索して見てみろよ」
と言ってブルベアバブーン (牡3・藤沢則厩舎)を教えた。
デビュー戦は芝1400mで16着(16番人気・16頭立て)である。
3週後にダ1200mに走って1着(13番人気・13頭立て)になった。
ダートに変わったことで生き返ったのだろう。
上がり時計を見ると芝で37.9秒かかったものがダートで35.9秒と速くなっている。
ゲートはあまり上手では無いので中団より後ろでレースを進める。直線に入るとパワーを
炸裂させてグイグイ伸びてゴール前で鮮やかに差し切った。強いレースだった。
ちなみにこの時の単勝配当は「16,950円」だった。
格上がり後は、特別レースを使って2戦目で勝ち上がる。7番人気だった。
レースはダ1800m。ここでも中団より後ろの位置で最初のコーナーを回り、向こう正面
では尻から2頭目の位置。3角から4角をスムーズに回って、直線に向くと大外へ持ち
出してグイグイ伸びてパワー全開である。ゴール前4頭が雪崩れ込む形でフィニッシュ
となったが頭一つ前に出ていた。これも強い勝ち方だった。
単勝配当は「4,430円」だった。
特別レースを勝ち上がったので陣営に色気が出た。今なら芝でも...と思ったのだろう
朝日フューチュリティ(G1・阪神・芝・1600m)を使うことにした。
止めればいいのに...である。
案の定、良いところ無しのどん尻18着に沈んだ。いつもより前目で走ったが直線に入ると
スピードに付いて行けずにズルズルと後退する。ダートでのあのキレのある末脚はどこへ
行ってしまったのだろうと思う程である。しかし、G1に参戦という勲章は手に入れた。
明けてダート路線に戻りオープン特別を5戦した。12着(15頭)→12着(12頭)→6着(8頭)
という戦績であれば自ずと人気からは見放される。明け4戦目は端午S(京都・ダ・1400m)
を走ることになった。人気は16頭立ての16番人気。このオッズを電光掲示板で見たバブーン
は心に火が点いた。いつものように後ろの集団でレースを進め、4角を回って大外に持ち出
し鞍上がビシビシ追う中、ムチに答えてグイグイ伸びた。ゴール前は抜け出した一頭を追い
かけてイワシの群れの大きな集団のように馬たちが塊となってゴール板を目指して駆け抜け
た。その大きな集団の先頭にいたのがバブーンだった。結果は2着。最低人気という汚名を
払拭できた。複勝配当は「3,270円」だった。もし勝っていれば単勝万馬券となっていた。
前走は、やはりオープン特別の鳳雛S(京都・ダ・1800m)だった。人気は10頭立ての8番
人気。「おいおい、前走はあの激戦を2着してるんだぜ」とオッズに文句を付けても虚しい
だけ。「何か気にいらねぇな」とヘソを曲げる。困ったものである。
レースはいつものようにゲートを立ち上がるように出て後方を追走する形となった。3角
で少し行き脚を付けて上がって行こうとするも全体のペースがそこで上がったものだから
順位は変わらない。4角を回っていつものように外へ出すのかと思ったが他の馬に被せら
れて出せない。そのままの位置取りで前に進まなければならない形になった。思うように
伸びない。鞍上のムチに答えようと懸命に歯を喰いしばってストライドを伸ばそうとする
が良いときのように走れない。結果は5着。頑張ったのに結果は付いて来なかった。