590件のひとこと日記があります。
2017/06/19 09:30
スナック・パドック 「ユニコーンS」レース後
「なっ、言った通りだろ」リエノテソーロは凡走した。
「だけどさぁ、体重は減ってたよ」ケンちゃんは納得がいかない。
「あれっ?、おかしいなぁ」オレは数字を見直すフリをして
「あれは何かの間違いじゃないのか?」トリックの可能性を指摘する。
「な、訳ないだろ」マスターも納得がいかない。
「明らかにコロコロして太ってたぞ」オレはパドックで観た感想を伝える。
「そうなんっすよね。俺にもそう見えたんだよね」ケンちゃんは腕組みを
すると「おかしいなぁ」と怪訝な顔になった。
「何かが、あったな」とマスターも腕組みをして、まるで捜査中の刑事よ
ろしく渋い表情を作った。
「NHKマイルCで2着に来たお祝いにガンガン食わせてブクブクに太って
レースがあるからって急激にダイエットしたって筋書きはどうだい?」
マスターがそう言って自分の推理を発表すると、
「今度はダートを走るのでパワーを付けようとしたって考え方もあるよな」
オレはそう言って焼いてもらったスルメイカを細く割いた。
「数字は整ったが中身は整わ無かった、ってコトだよな」
マスターは後からマヨネーズを小皿に入れて差し出した。
「だったら数字はそのままでいいんじゃないの」
ケンちゃんはオレが割いたスルメイカを持ち出した。
「牝馬だけに見栄えを気にしたんじゃないのか?」
オレはイカが熱かったので耳たぶを指で摘まんで冷やしながらそう言うと
「太ったって言われたくないの〜」
ケンちゃんが両こぶしを握って口の前に置いてブリッ子ポーズ。
「あるある、あり得るな」マスターは拍手をして納得している。
NHKマイルC(東京・芝・1600m)は5月7日(日)に行われたのだから、
1か月と10日のローテーションとなる。これが短いのか長いのか...。
それはいろいろな考え方があると思うので一概には言えないが、
NHKマイルC・2着馬としてどうなのだろう?しかも、ユニコーンS
(東京・ダ・1600m)はダートの重賞である。優勝しないと意味が無い、
とにかく優勝して勲章を集めよう、そう言う意図が伝わってくる。
この馬、昨年の夏に札幌でデビューして、新馬戦(芝1200m)→オープン
特別(札幌・芝1200m)と2連勝した。連闘でのレースだった。そして、
北海道に残り1か月後、門別でダートの重賞G3・エーデルワイス賞
(ダ1200m)を使って優勝。関東に戻り、2か月後、今度は川崎の全日本
2歳優駿(ダ1600m)を使って優勝。3か月半の間に4戦してここまで
4連勝である。今年に入って3月11日に中央での復帰戦を桜花賞の出走を
狙って、アネモネS(中山・芝・1600m)で戦い、4着(2番人気)となった。
結果、桜花賞への出走は断念して、狙いをNHKマイルC(G1・東京・芝
・1600m)に切り換えた。
「調教師は若いから馬主の言い成りなのかなぁ」
マスターはスマホでいろいろと調べている。
「馬主は大学の理事長みたいだね」ケンちゃんも同じように調べている。
「シンボリルドルフは理想的な馬だったよな」オレは感慨深くそう言うと
「あの馬は別格だよ」マスターは軽く相槌を打った。
「馬主と調教師と騎手。あのルドルフの組み合わせがベストだったな」
オレは馬中心主義のあの考え方を今でも素晴らしいと思っている。
「結果的にみんなが喜ぶものを残したんだから最高だよな」
マスターもオレの意見に賛成のようだ。
「大学の理事長やってるんだから、分かりそうなもんだけどね」
ケンちゃんの言い分はもっともだ。
リエノテソーロにNHKマイルCの時の走りが戻るのだろうか?
あの重心を低くして獲物を狙うビューマのような走りが...
馬主中心主義を馬中心主義に変える努力が必要なのだろう。
馬が頑張れる環境を人間が作ってやる、
馬と人間がともに明るい未来を歩んで行く。
リエノテソーロの環境を変えて上げて欲しい。節にそう願うのである。